研究課題/領域番号 |
24249044
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
下方 浩史 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 部長 (10226269)
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研究分担者 |
大塚 礼 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 室長 (00532243)
幸 篤武 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (00623224)
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10283441)
加藤 友紀(外山友紀) 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (20329650)
丹下 智香子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (40422828)
西田 裕紀子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (60393170)
李 成吉吉 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部, 研究員 (80583666)
安藤 富士子 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (90333393)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肥満 / メタボリックシンドローム / 心血管性疾患 / 栄養 / 身体活動量 |
研究概要 |
地域代表性のある2,400名の一般住民コホートデータ解析では、データ整理、記述統計、横断的予備解析を実施した。第7次調査を継続的に進めて、収集データの修正・整理を行い、「メタボ」と、肥満を伴わない「かくれメタボ」の有病率を性・年齢別求めた。日本人将来人口推計などを参考に日本人全体の患者数推計を行ったところ、「メタボ」推定人数は男性で多く、どの年代でも女性は男性の半数もしくはそれ以下であった。40歳以上の日本人全体では980万人と推計された。「かくれメタボ」は40代、50代では男性の方が多かったが、女性では60代以降に多くなり、70代では男性の2倍以上であった。40歳以上の日本人全体では860万人と推計された。「メタボ」の患者数は2030年頃まで、「かくれメタボ」の患者数は2035年頃まで増加するものと推計された。筋肉量は男女ともに「メタボ」で有意に多く、内臓脂肪、体脂肪率も「メタボ」で多かった。喫煙、飲酒、栄養摂取などの生活習慣は「メタボ」、「かくれメタボ」に影響しなかったが、歩数や身体活動は「かくれメタボ」よりも「メタボ」との関連が強かった。認知機能や抑うつ傾向などの心理的要因は「メタボ」、「かくれメタボ」との関連が弱かった。 15万人の22年間にわたる大規模健診コホートデータの解析では、まず平成23年度分の23,793データのクリーンアップ及びデータベース化を実施した。平成23年度データの解析では、脳卒中、心臓病は「メタボ」、「かくれメタボで」リスクが高くなるが、特に心臓病は「かくれメタボ」でリスクが高くなっていた。早食い、夜食、朝食欠食などの食習慣の乱れは「メタボ」とは関連していたが、「かくれメタボ」との関連は弱かった。この22年間で「メタボ」の有病率は中年男性で増加していたが、女性ではむしろ減少していた。一方、「かくれメタボ」は、特に中年男女で減少傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究として、一般住民コホート研究では、第7次調査を継続的に進めるとともに、データの修正・整理を行うこと、記述統計として、地域住民における「メタボ」、「かくれメタボ」の有病率を性・年齢別に明らかにすること。日本人将来人口推計などを参考に日本人全体の患者数の将来推計を行うこと、「かくれメタボ」の心臓病、脳血管障害リスク、「メタボ」での疾患リスクとオッズ比を求めること、横断的予備解析として「メタボ」、「かくれメタボ」と各種リスク要因との関連解析を行い、身体組成、栄養、身体活動、心理社会的素因との関連を明らかにすることを計画していたが、それらをすべて網羅した研究を実施することができた。また、大規模健診コホート研究では、平成23年度データのクリーンアップ及びデータベース化、心血管性疾患発症リスクの「メタボ」、「かくれメタボ」で比較すること、22年間の「メタボ」、「かくれメタボ」の頻度の変遷を年度ごとに性別、年齢別に明らかにすることのすべてを実施できた。さらに生活習慣と「メタボ」、「かくれメタボ」との関連についても明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度、26年度では、一般住民コホート解析において15年間の縦断的解析から「かくれメタボ」の要因と疾患リスクを求めるとともに、最終的には「かくれメタボ」予防のストラテジー開発を目指す。平成24年度の横断的予備解析に引き続いて、「メタボ」、「かくれメタボ」の発症要因に関する縦断的研究を、医学、栄養、運動、心理の各分野で行う。縦断的解析については繰り返しデータの扱いが可能な多変量解析モデルである混合線形モデル、一般化線形モデル(GENMOD)などを用いる。「かくれメタボ」の体質的要因として糖・脂質代謝関連遺伝子多型を明らかにする。 大規模健診コホートの解析では、各年度のデータの確認、クリーンアップを行うとともに、 喫煙・飲酒、運動習慣、食習慣などの生活習慣や体脂肪率の違いが「かくれメタボ」を引き起こすリスクを縦断的に計算し、「メタボ」との比較を行う。 一般住民コホートと大規模健診コホートのふたつの縦断研究から、互いの結果を比較、検証する。また、「かくれ肥満」、「かくれメタボ」の要因とその予防法の開発、「かくれメタボ」からの心臓病、動脈硬化症、脳血管障害のリスクを推定するモデルの作成などを通して、日本人の中高年期の「かくれメタボ」を予防するためのストラテジー開発を目指す。
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