研究課題
炎症性腸疾患は近年増加傾向にある,原因不明の慢性炎症性疾患である.潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患の1つであり,本邦の患者数は10万人以上とされている.近年の免疫統御療法の発展とともに,潰瘍性大腸炎の治療が進歩したが,罹患患者における大腸癌発生率は依然として高く,臨床上大きな問題となっている.潰瘍性大腸炎に合併する癌は,慢性炎症を有する大腸粘膜を発生母地とし,Colitis-Associated Cancer(CAC)と呼ばれ,臨床的に問題となっている.ヒト臨床検体を用い,腸管上皮幹細胞ならびに大腸がん上皮細胞の3次元培養法(オルガノイド培養)を開発した. CACは希少であること,また,上皮単離技術と培養方法の確立に時間を要したが,平成25年度までに,我々は潰瘍性大腸炎における正常,CACおよび異形成上皮より10ラインのオルガノイドを樹立し,そのうち3ラインに対して次世代シークエンス解析を行った.今後,さらに検体数を増やすとともに全ラインでの次世代シークエンス解析と遺伝子変異のがん化への分子メカニズム解明を目指す.
2: おおむね順調に進展している
潰瘍性大腸炎関連大腸がんは希少ながんであるが,申請者らは倫理申請の後,内視鏡または手術検体を用いて10ラインのオルガノイドを樹立した.現在まで,潰瘍性大腸炎関連大腸がんからのオルガノイド株は樹立されておらず,潰瘍性大腸炎のがん化メカニズム研究の進展が期待できる.既に,3ラインについては次世代シークエンス解析が終わっており,申請時の研究計画通り順調に進行している.
潰瘍性大腸炎関連大腸がんの新たなオルガノイド株の樹立と,これまで樹立してきたオルガノイドの次世代シークエンス解析を行う.得られたデータから,潰瘍性大腸炎関連大腸がんに特徴的な遺伝子変異やエピゲノム異常を検出し,潰瘍性大腸炎のがん化機構の解明を目指す.
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