研究課題
前年度、FSTL3による抑制を受けるTGFβスパーファミリー蛋白としてActivin Bを同定したが、実際、Activin Bノックアウトマウスでは、FSTL3過剰発現による耐糖能の悪化が生じず、Activin Bが生体での糖代謝恒常性に寄与しており、肥満により発現が増加するFSTL3がその作用を阻害していることが考えられた。そこで、Activin Bの血糖降下作用のメカニズムについて検討を進めた。その結果、Activin Bの血糖降下作用には、①膵β細胞においてインスリン分泌を増強させること、②肝臓において糖新生を抑制すること、③末梢組織のインスリン感受性を亢進させること、④マクロファージの炎症性変化を抑制すること、等が関与していると考えられた。①の作用は、単離ラ氏島にActivin Bを投与することでも得られることから、短期的かつ直接的なインスリン分泌機構への作用が存在すると考えられた。β細胞量への影響についても今後検討が必要である。②の作用は、1型糖尿病モデルでも観察され、さらに肝培養細胞にActivin Bを投与することでも観察されるため、インスリンとは独立の肝細胞への直接作用であることが明らかとなった。また、③のインスリン感受性亢進の一部には、FGF21の関与が示唆された。また、②および③の作用については、異なるActivin受容体を介していることが示唆されている。④については、培養マクロファージへのActivin B投与によって、M1マクロファージマーカーの発現抑制とM2マクロファージマーカーの上昇が認められた。今後、①~④の分子メカニズムをさらに解明することで、副作用の少ない抗糖尿病治療薬の開発につなぐことができるものと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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