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2013 年度 実績報告書

ミエロイド細胞の生成経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24249057
研究機関京都大学

研究代表者

河本 宏  京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (00343228)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード造血 / 系列決定 / 分化経路 / 前駆細胞
研究概要

造血幹細胞から種々の血液細胞がつくられる過程に関して、本研究は、血液細胞の主要な系列の生理的な分化経路を解明することを主目的とする。申請者らは前駆細胞の分化能の詳細な解析から、独自の造血モデル(ミエロイド基本型モデル)を提唱し、実証してきた。このモデルは現在では「分化能マップ」として正しいと考えられているが、血液細胞の「生理的な生成経路」は依然不明のままである。本研究の戦略としては、フェイトマッピングの手法を用いる。特にミエロイド系細胞がミエロリンフォイド前駆細胞とミエロエリスロイド前駆細胞のどちらに由来するのかを確かめたいと考えた。具体的にはミエロリンフォイド前駆細胞をgeneticにマークするためにFlt3の発現に応じてCreを発現するマウスとLox-GFPマウスを掛け合わせたマウスなどを用いるという方法を計画した。本研究により、血液細胞の生成経路図を完成させる事が可能であると考える。
本研究では、まず作製したFlt3-Creで、レポーターとしてCAG-Lox-GFPあるいはRosa26-Lox-RFPを用いて、マークされた系列とマークされる率を計測中したが、全ての系列がマークされてしまった。この系に関してはレポーターとしてレインボーマウスを用いた実験を進めている。またFlt3-ERCre::Rosa26-lox-RFP成体マウスにタモキシフェンを投与する系を用いた実験も行ったが、この場合はマークされる率が低く、あまり明確な結果はえられなかった。別なFlt3-ERCreラインを作製して再実験を試行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

24年度はラボの移動(理研から京大)があったので、動物実験があまり進まなかったが、25年度には計画通りの実験が進められた。Flt3-ERCreマウスを用いて誘導的にミエロ-リンフォイド前駆細胞をフェイトマッピングする方法を用いてきたが、マッピングの効率があまりよくなく、明確な結果があまり得られなかった。一方でFlt3-ERCreマウスの別ラインの作成を25年度にすでに開始しており、26年度にはそれを用いた実験を行う予定である。

今後の研究の推進方策

Flt3-ERCreマウスの別ラインの作成を開始ししており、26年度は、こうしてできたマウスで解析を行う予定である。すなわち、Flt3-ERCre::Rosa26-lox-RFP成体マウスにタモキシフェンを投与し、ミエロ-リンフォイド前駆細胞のみを誘導的にマークする。一定の期間後、骨髄、胸腺、脾臓、末梢血中の各種血液細胞の中で遺伝的なマークの入った細胞(RFP陽性細胞)の比率を計測し、それによりミエロ-リンフォイド前駆細胞由来の細胞の割合を確定する。
一方、本計画の初期(24年度)にFlt3-Creを作成した。この系を用いた場合は、恒常的にミエロ-リンフォイド前駆細胞をマークできると考えたが、実際に実験を行ってみるとエリスロイド系までマークされてしまう(すなわち全系列がマークされてしまう)傾向がみられたので、フェイトマップに適していなかった。そこでタモキシフェンの投与量を調整することでマーキングの効率を変えられるFlt3-ERCreの系に切り替えたという経緯がある。しかし、Flt3Creの系も、レポーターのシステムを工夫すればフェイトマッピングに使える可能性があると考えた。いわゆるレインボーマウスといわれるレポーターマウスを用いて、複数のクローンのフェイトを追い、各系列間でのクローンの混在比を比較する実験を計画している。これにより、前駆細胞の動態が辿れると考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)

  • [雑誌論文] MicroRNA-126-mediated control of cell fate in B-cell myeloid progenitors as a potential alternative to transcriptional factors.2013

    • 著者名/発表者名
      Okuyama K, Ikawa T, Gentner B, Hozumi K, Harnprasopwat R, Lu J, Yamashita R, Ha D, Toyoshima T, Chanda B, Kawamata T, Yokoyama K, Wang S, Ando K, Lodish HF, Tojo A, Kawamoto H, Kotani A
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA.

      巻: 110 ページ: 13410-13415

    • DOI

      10.1073/pnas.1220710110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ALoss of mTOR complex 1 induces developmental blockage in early T-lymphopoiesis and eradicates T-cell acute lymphoblastic leukemia cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Hoshii T, Kasada A, Hatakeyama T, Ohtani M, Tadokoro Y, Naka K, Ikenoue T, Ikawa T, Kawamoto H, Fehling HJ, Araki K, Yamamura K, Matsuda S, Hirao
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 111 ページ: 3805-3810

    • DOI

      10.1073/pnas.1320265111

    • 査読あり
  • [学会発表] Close relationship between myeloid and lymphoid lineages

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      Nikolas Symposia
    • 発表場所
      アテネ(ギリシャ)
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanisms for production and maintenance of T cell lineage

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      International Workshop of KTCC 2013
    • 発表場所
      京都
    • 招待講演
  • [学会発表] 血液細胞の新しい分化モデル

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      化学生命工学特別講演会
    • 発表場所
      岡山
    • 招待講演
  • [学会発表] 血液細胞の新しい分化モデル

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      京大病院循環器内科セミナー
    • 発表場所
      京都
    • 招待講演
  • [学会発表] 造血幹細胞からT前駆細胞に至る系列決定の過程

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      山口大学特別専門講義
    • 発表場所
      山口
    • 招待講演
  • [学会発表] A revised scheme for lineage restriction of progenitors during hematopoiesis -Insight into the origin of mixed phenotype acute leukemia-

    • 著者名/発表者名
      河本 宏
    • 学会等名
      日本血液学会シンポジウム
    • 発表場所
      北海道
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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