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2013 年度 実績報告書

サイトカインを基盤とするアレルギー病態の生体内イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 24249058
研究機関東京理科大学

研究代表者

久保 允人  東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (40277281)

研究分担者 原田 陽介  東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (20328579)
宮内 浩典  独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (50619856)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード免疫学 / アレルギー / 免疫関連疾患
研究概要

近年、従来のアレルギー炎症はTh2から産生されるIL-4により制御されると言ったTh2を中心にアレルギー性炎症病態が考えられてきたが、これらTh2サイトカインはTh2細胞のみならず、自然免疫系を構成するNKT細胞、肥満細胞、好塩基球やNatural Helper細胞等からも産生される。そのため、「どの細胞から、どのタイミングで産生されるIL-4やIL-13が生体内におけるアレルギー炎症を構成するのか?」「これら細胞系におけるIL-4・IL-13産生制御はどうなっているのか」「IgE抗体は何処で作られ、その制御をしている細胞はいずれか?」が不明な課題となっている。そこで本研究では、生体内レベルで起こるアレルギー反応を対象にこれら疑問に答えていくことを目的に、サイトカインレポーターマウスなどを使うことで、生体内動態のイメージングを行い、アレルギー炎症に対する次世代治療戦略の基盤形成を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)IL-4・IL-13レポーターマウスによる生体内イメージング解析
IL-4やIL-21の生体内動態をモニターするため、human CD2(hCD2)をレポーターとするIL-4-CD2 BAC TgとIL-21-CD2 BAC Tgを用い、アレルギーモデルにおける生体内動態について、脾臓、リンパ節、腸管リンパ組織、骨髄、胸腺を対象に経時的データを集積した。本年度は慢性アレルギー病態のモデルとして、卵白アルブミンに対して特異的なT細胞抗原受容体を持つIL-4-CD2 BAC Tgより誘導したTH2細胞を用いた系を構築した。試験管内で卵白アルブミン刺激によって誘導したTH2細胞を、抗原刺激を受けたことの無いマウスに移入後、卵白アルブミン免疫すると、このマウスは非常に高濃度のIgE抗体を産生する。T細胞におけるIL-4の発現をGFPでモニターしたところ、移入されたTH2細胞はT細胞が数多く集積するT細胞領域に分布し、抗原刺激を受けることによって濾胞ヘルパーT細胞(TFH)として2次リンパ組織内の胚中心へと集積する事が明らかにされた。この結果は一度TH2細胞として分化した細胞でも、2次リンパ組織と言う微小環境で抗原刺激を受けると、TFHに似た動向を取るようになり、胚中心に集積することでB細胞と結合し、IgE抗体を作ることができることが明らかにされた。この卵白アルブミン特異的なTH2細胞が移入されたマウスを、さらに頻回刺激するとアナフェラキシー状態になり、ショック症状を起こすことから、今回構築したTH2細胞を用いた系は、慢性的アレルギー状態におけるアナフェラキシーのモデルになることが示された。また、マウス個体レベルでTH2細胞を誘導する試みをIL-13 GFP レポーターマウスを用いて行ったところ濾胞ヘルパーT細胞とは異なり、TH2細胞の誘導には長期的な抗原感作が必要であることが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

この件実績に基づき、TH2細胞によって誘導されるIgE抗体産生制御機構を明らかにして行く。従来よりIgE抗体産生の過程には IgG1からIgEとIgMからIgEへと移行する2つのスイッチメカニズムが考えられている。われわれは、TH2細胞によっておこるIgE抗体産生がどちらのメカニズムによるものかをIgE抗体遺伝子の配列を読み取ることにより明らかにする。また、作られたIgE抗体について体細胞変異の有無を検証することで、免疫記憶の存在を検証していく。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 7件)

  • [雑誌論文] Nfil3-independent lineage maintenance and antiviral response of natural killer cells2013

    • 著者名/発表者名
      Firth, M.A., Madera,S., Aimee M. Beaulieu, A.M., Gasteiger,G., Schluns, K.S., Kubo, M, Rothman, P.B., Vivier, E., and Sun, J.C
    • 雑誌名

      J.Exp.Med

      巻: 210(13) ページ: 2981-2990

    • DOI

      10.1084/jem.20130417

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heterogeneous immunologic pathways underlie the pathogenesis of the allergic march2013

    • 著者名/発表者名
      Noti, M., Tait, E.D., Wojno, T., Kim, B. S. Siracusa, M.C., Giacomin, P.R., Nair, M.G., Kubo, M., Alain J. Benitez, A.J., Ruymann, K.R., Comeau, M.R., Cianferoni, A., Wang, M., Spergel, J.S., and Artis, D
    • 雑誌名

      Nature Medicine

      巻: 19(8) ページ: 1005-1013

    • DOI

      10.1038/nm.3281

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Leukotriene B4 receptor BLT2 negatively regulates allergic airway eosinophilia2013

    • 著者名/発表者名
      Matsunaga, A., Fukuyama, S., Okuno, T., Sasaki, F., Matsunobu, T., Asai, Y., Matsumoto, K., Saeki, K., Oike, M., Sadamura, Y., Machida, K., Nakanishi, Y., Kubo, M., Yokomizo, T., Inoue, H
    • 雑誌名

      The FASEB Journal

      巻: 27(8) ページ: 3306-3314

    • DOI

      10.1096/fj.12-217000

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Therapeutic hope for psoriasis offered by SOCS mimetic peptide2013

    • 著者名/発表者名
      Kubo, M
    • 雑誌名

      Eur. J. Immunol

      巻: 43(7) ページ: 1702-1705

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Critical role of p38 and GATA3 in natural helper cell function2013

    • 著者名/発表者名
      Furusawa, J., Moro, K., Motomura, Y., Okamoto, K., Zhu, J., Takayanagi, H., Kubo, M., Koyasu, S
    • 雑誌名

      J. Immunol

      巻: 191(4) ページ: 1818-1826

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1300379

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Basophils are required for the induction of Th2 immunity to haptens and peptide antigens2013

    • 著者名/発表者名
      Otsuka, A., Nakajima S, Kubo M, Egawa G, Honda T, Kitoh A, Nomura T, Hanakawa S, Sagita Moniaga C, Kim B, Matsuoka S, Watanabe T, Miyachi Y, Kabashima, K
    • 雑誌名

      Nature Communication

      巻: 4 ページ: 1738

    • DOI

      10.1038/ncomms2740

    • 査読あり
  • [学会発表] Distinct roles of TFH and TH1 cells in humoral responses against influenza A virus infection2013

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Miyauchi, Akiko Ishige, Tomohiro Kaji, Yohsuke Harada, Hideki Hasegawa, Yoshimasa Takahashi, Toshitada Takemori, Masato Kubo
    • 学会等名
      第42回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      20131211-20131213
  • [学会発表] Molecualr Mechanism of Immune Responses2013

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      The 86th Annual Meeting of the Biochemistry International session
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20130911-20130913
    • 招待講演
  • [学会発表] Cytokine regulation in T follicular helper2013

    • 著者名/発表者名
      Masato Kubo
    • 学会等名
      Tfh Gordon Conference
    • 発表場所
      Hong Kong
    • 年月日
      20130721-20130726
    • 招待講演
  • [学会発表] 慢性炎症におけるIL-10働きとその制御2013

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      第45回日本動脈硬化学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20130718-20130719
    • 招待講演
  • [学会発表] Roles of follicular helper T (TFH) cells in antibody based protective immunity against influenza virus.2013

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      International Workshop of Kyoto T cell Conference 2013
    • 発表場所
      紫蘭会館(京都府)
    • 年月日
      20130603-20130607
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of follicular helper T (TFH) cell in humeral responses against influenza A virus infection2013

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Miyauchi, Tomohiro Kaji, Toshitada Takemori, Masato Kubo
    • 学会等名
      第78回日本インターフェロン・サイトカイン学会/第21回マクロファージ分子細胞生物学国際シンポジウム
    • 発表場所
      都市センターホテル(東京都)
    • 年月日
      20130520-20130521
  • [学会発表] 好塩基球とナチュラルヘルパー細胞によるアレルギー制御

    • 著者名/発表者名
      本村泰隆、茂呂和代、小安重夫、久保允人
    • 学会等名
      東京免疫フォーラム
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
  • [学会発表] 好塩基球とナチュラルヘルパー細胞によるアレルギー性気道炎症の制御

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      第6回ドライアイ・アレルギージョイントセミナー
    • 発表場所
      シャングリ・ラ ホテル東京(東京都)
    • 招待講演
  • [学会発表] インフルエンザに対する抗体産生メカニズム

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      化血研KIKUCHIバイオセミナー
    • 発表場所
      化血研(熊本県)
    • 招待講演
  • [学会発表] 濾胞型ヘルパーT細胞と抗体産生制御

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      産業医科大学 第一内科大学院特別講義
    • 発表場所
      産業医科大学(福岡県)
    • 招待講演
  • [学会発表] サイトカインとシグナル伝達

    • 著者名/発表者名
      久保允人
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府)

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公開日: 2015-05-28  

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