研究課題
最終年度として、研究目的を達成するためにこれまでの研究の進展を図ると共に、インフルエンザ脳症の急速な脳浮腫の原因解明に努め、以下の成果を挙げた。1. 重症化へのハイリスク患者の治療法として、昨年までに糖代謝改善薬としてPyruvade Dehydrogenase (PDH) kinase 4(PDK4)阻害剤のdiisopropylamine dichloroacetate (DADA)と、長鎖脂肪酸代謝酵素の転写促進剤のBezabibrateを提案してきた。これらの治療薬の効果をさらに的確にするため、DADAにはミトコンドリアの呼吸鎖上のComplex VIの機能改善薬の5-アミノレブリン酸の併用を、CPTII の転写促進剤のBezabibrateには酵素の安定化剤のL-carnitineの併用が有効であることを確認した。2. 小児のインフルエンザ重症化で問題となっているインフルエンザ脳症は、感染後数日内に急速な脳浮腫を特色とする。本年度の血管内皮細胞機能障害の発症機序の解析から、インフルエンザ感染直後に血管内皮細胞のGSK-3βが活性化され、その結果β-cateninのリン酸化に伴う分解亢進とVE-cadherinの減少が血管内皮細胞機能障害の原因と推定された。その結果、急性脳浮腫の治療薬にはGSK-3βを治療標的酵素とする阻害剤の開発が有望であることを明らかにした。3. インフルエンザ脳症の発症リスクを早期に診断するために、熱不安定性CPTII遺伝子多型を30分以内に遺伝子診断する方法として、理化学研究所が開発したSmartAmp法が有用であることをヒトの検体で確認した。4. 昨年に続いて、感染重症化のAlarmシグナルとして、乳酸値/ATP値が特に敏感なAlarmシグナルであることを、さらに多くの臨床検体で確認した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)
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