我々が作成した、気分障害モデルマウス(カルモデュリンキナーゼプロモーターを用いて、神経細胞特異的に変異型ポリメラーゼγを発現させたトランスジェニックマウス)を用いて、25週齢時に輪回し装置に導入し、1週間後より輪回し行動量測定を開始し、輪回し量の変動から、うつ状態の基準を満たした後、速やかにマウスより脳を摘出し、神経細胞の形態学的解析に用いた。ゴルジ染色等の染色法を用いて、気分障害モデルマウスにおけるうつ病様エピソード中の神経細胞の形態学的変化(樹状突起萎縮、樹状突起スパインの減少など)が見られるかどうかを明らかにするため、浜松ホトニクス社製デジタルナノズーマーを用いて画像の取り込みを行った。更に、形態学的変化を自動的に判定するための画像解析用のソフトウェアを導入し、条件検討を進めた。さらに、気分障害モデルマウスと同様の所見が気分障害を持つ患者においても見られるかどうかを検討するため、ヒト死後脳を用いた染色法の検討を進めた。ヒト死後脳切片では、マウスと異なり、リポフスチンによる自家蛍光によるアーチファクトが見られ、評価が困難であったため、自家蛍光を最小限に抑制するための染色プロトコールの検討を進めた。また、マウスで見いだされた新規の気分障害候補脳部位に相当するヒトの脳部位を同定するため、マウスの脳部位同定に用いるマーカー蛋白の抗体を用いて、ヒト脳における免疫組織化学的検討を進め、マウスの脳部位との比較を進めた。
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