研究課題
新しいがん治療法としてのバイオナイフの開発と臨床応用我々は基盤特許群を有する「センダイウイルスの組換え技術」を応用したM遺伝子欠失rSeVをベースに、多くの悪性腫瘍が発現するウロキナーゼ(uPA)を標的化し、膜融合に重要なF遺伝子の細胞質内ドメインを遺伝子操作することにより、膜融合活性(=腫瘍殺傷能力)を高めた製剤を開発し、これを「バイオナイフ(BioKnife)」と命名した。また、新しい腹膜播種治療法の開発として、マウス腹腔内における免疫系細胞の解析を行っている過程で、偶然低頻度ながらactiveな造血が行われていることを発見した。そしてそのniche構成細胞について膜結合型SCF発現を指標に検索したところ、reticular/ vascular nicheを構成する細網状細胞(CAR: CXCL12- abundant reticular cells、Immunity 2006)が散在性に分布し、腹膜におけreticular nicheが播種性悪性腫瘍の足場となり、がん幹細胞として振る舞わせる原因であることが明らかになった。今回、バイオナイフの機能促進の標的分子であるウロキナーゼとその関連分子(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA),ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR),ウロキナーゼ活性化阻害因子(PAI-1))の悪性胸膜中皮腫症例における発現を免疫組織化学染色にて検討した.uPAR高発現群は生存期間の中央値が318日,uPAR低発現群が906日であり,uPAR高発現群は全生存期間が有意に短かった(p=0.0148).悪性胸膜中皮腫の腫瘍進展にウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子が関与していると考えられ,臨床においてバイオナイフによる治療効果が期待できる結果であった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Anticancer Research
巻: 35 ページ: 1791-6
Lung Cancer
巻: 85 ページ: 125-30
10.1016/j.lungcan.2014.06.006.