| 研究課題/領域番号 |
24249078
|
|---|
| 研究機関 | 新潟大学 |
|---|
研究代表者 |
高橋 公太 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90101857)
|
|---|
| 研究分担者 |
齋藤 和英 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20262438)
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
今井 直史 新潟大学, 医歯学総合病院, 臨床検査技師 (50599165)
中川 由紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70422607)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| キーワード | ABO血液型不適合 / 免疫学的順応 / ホスト免疫系因子 / グラフト内皮細胞因子 |
|---|
| 研究概要 |
平成25年度は、ABO血液型不適合腎移植に関する英文単行本を刊行した。これは研究代表者が四半世紀以上にわたり手がけてきたABO血液型不適合腎移植に関する臨床的・探索医学的研究の現時点での集大成である。臨床的なイノベーションの歴史と現在の臨床成績すなわち臨床的な到達点、本移植における「免疫学的順応」の成立と「脱感作療法」の意義に関する基礎・臨床両面からの探索医学的アプローチによる現時点での結論と未解明な点、今後の研究への展望を詳細に記載した。
研究面では、平成24年度に引き続いて、
①ABO血液型不適合腎移植症例の生検検体の血液型糖鎖抗原・抗A抗B抗体、補体系（c4d）、補体制御蛋白（CD55, CD59)発現に関する経時的な免疫組織学的検討を行った。②ヒトB細胞系免疫における血液型糖鎖抗原に対する抗体産生系の解析:懸案であったホスト免疫系の解析の一環として、in vitroにおけるヒトB細胞免疫系による抗A抗B抗体産生系実験系を確立した。これによりコントロール症例および移植後患者のB細胞免疫系が抗A抗B抗体を産生する能力について、クローンレベルでの解析が可能となり、サイトカインの影響や抗体産生に抑制性に働く細胞の役割についての解析が可能となっている。
③腎血管内皮細胞培養系におけるAB糖鎖抗原の発現系についてはその確立が遅れておりin vitroにおけるグラフト側の抗体に対する応答反応の解析には至っていない。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ABO血液型不適合腎移植症例の生検検体の血液型糖鎖抗原・抗A抗B抗体、補体系（c4d）、補体制御蛋白（CD55, CD59)発現に関する経時的な免疫組織学的検討を行った。②ヒトB細胞系免疫における血液型糖鎖抗原に対する抗体産生系の解析:懸案であったホスト免疫系の解析の一環として、in vitroにおけるヒトB細胞免疫系による抗A抗B抗体産生系実験系を確立した。これによりコントロール症例および移植後患者のB細胞免疫系が抗A抗B抗体を産生する能力について、クローンレベルでの解析が可能となり、サイトカインの影響や抗体産生に抑制性に働く細胞の役割についての解析が可能となっている。
③腎血管内皮細胞培養系におけるAB糖鎖抗原の発現系についてはその確立が遅れておりin vitroにおけるグラフト側の抗体に対する応答反応の解析には至っていない。
|
| 今後の研究の推進方策 |
①ホスト側因子の解析：確立したヒトB細胞系の血液型糖鎖に対する抗体産生の解析系をもちいて、コントロール症例および移植後安定例のAB型糖鎖抗原に対する抗体産生反応に及ぼす因子（サイトカイン、抑制性細胞の有無）についての研究を推進する。
②グラフト側因子の解析：2009年に報告した移植腎血管内皮細胞AB血液型糖鎖抗原とアンカー蛋白について、再度、移植後安定期にある患者血清から採取した抗A抗B抗体との結合試験・免疫沈降法・プロテオーム解析から、免疫学的順応状態におけるグラフト血管内皮細胞における血液型糖鎖関連蛋白を同定する。
③腎血管内細胞培養系におけるAB血液型糖鎖抗原発現系の確立を目指す。確立の暁には抗A抗B抗体を作用させin vitroにおける血管内皮細胞側の因子、特に補体制御因子に焦点を当てて解析を行う。来年度は研究最終年度でありABO血液型不適合腎移植の免疫学的順応誘導メカニズムについてグラフト側因子、ホスト側因子の両面から研究を進め、一定の結論を導き出したい。
|
