研究課題
頭頸部癌に対する有効なアジュバント療法を開発することを目的に、NKT細胞のリガンドであるα-galactocylceramide(αGalCer)パルス樹状細胞の鼻粘膜下投与による免疫療法に関して①頭頸部扁平上皮癌に対する有効性の科学的証明②本治療法の効果を高めるための細胞傷害性T細胞の活性化を併用した複合免疫療の検討③扁平上皮癌以外の癌種に対する有効性の検討④治療効果に対する抑制性細胞の影響とその改善に向けた検討を行う計画で進めている。本年度も,検討1.標準治療後の進行期頭頸部扁平上皮癌に対するαGalCerパルス樹状細胞を用いたアジュバント療法の有効性に関して、αGalCerパルスを行わない樹状細胞投与を対照にした2群間ランダム化第Ⅱ相試験を継続した。検討2.炭素イオン線治療後の頭頸部粘膜悪性黒色腫に対するαGalCerパルス樹状細胞を用いたアジュバント療法の有効性に関する2群間ランダム化第Ⅱ相試験を継続した。検討3.唾液腺導管癌症例に対するαGalCerパルス樹状細胞を用いたアジュバント療法の安全性と有効性に関する第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施する検討4.頭頸部癌患者の免疫抑制細胞について標準治療、細胞免疫療法との関連についてin vitro, in vivoの検討から明らかにする。検討5.αGalCerパルス樹状細胞を用いたアジュバント療法の有効性に関して治療により変動するmicroRNAの解析から効果予測因子を明らかにする。現在1)は19例まで登録が進んだ。2)は4例終了、3)は2例終了した。現在も症例を増やして検討を進めている。頭頸部癌患者の末梢血液中の制御性T細胞、骨髄性抑制細胞の解析を進め、免疫療法との関連を解析している。
2: おおむね順調に進展している
本研究では先進医療への申請を試験の出口として設定しているが、(1)の標準治療後の進行期頭頸部扁平上皮癌に対するαGalCerパルス樹状細胞を用いたアジュバント療法の有効性に関する2群間ランダム化第II相試験の一部が先進医療とし認可され開始されている。再生医療等の安全性の確保等に関する法律の制度に基づく特定認定再生医療等委員会の設置が遅れ、現在厚生労働省からの最終許可を待っている段階で本年度の登録症例が限られていたが、現在待機中の症例も多く、今後症例数を急ぎ増加させることで、予定症例数の実施は可能と考えられる。その他の試験においても検討奨励を増やしている。頭頸部がん患者の免疫細胞の増加と治療による変動、免疫療法の意義についても興味ある結果が得られ論文投稿を進めた。
再生医療法の改正に伴い、再申請について厚生労働省からの最終認可が得られ次第、それぞれの臨床試験に関し、適応患者のエントリーを進める。各試験において設定されている評価項目に加え、制御性T細胞やMDSCなどの抑制性細胞に関する検討も継続する。全ての臨床試験を行っていく上で、患者の適格審査や登録・割付、細胞培養室のスケジュール調整、データマネージメント、統計解析など非常に煩雑な手続きが必要である。これらを効率良く行うために、千葉大学医学部附属病院臨床試験部や関係他科との連携を深め、より安全かつ科学的に臨床試験を進めていく。
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