研究課題/領域番号 |
24249082
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 長久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70211662)
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研究分担者 |
池田 華子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20372162)
今村 博臣 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20422545)
垣塚 彰 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80204329)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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キーワード | 神経保護 / 眼難治疾患 |
研究概要 |
1)眼圧上昇緑内障モデルマウスに対するVCP阻害剤の網膜神経節細胞消失抑制効果の検証:眼圧上昇を伴う遺伝性緑内障モデルであるDBA/2Jマウスに対し、VCP阻害剤が網膜神経節細胞の消失、神経線維層菲薄化、視神経乳頭陥凹拡大に対する抑制効果の検証を行った。DBA/2Jマウスは、生後半年程度で眼圧が上昇し始めるため、眼圧上昇前の2カ月齢から、VCP阻害剤を経口投与し、眼圧が上昇し始めたのち、6,7,8,9,10カ月齢にてOCT撮影を行い、神経線維層厚および視神経乳頭陥凹の評価を行った。その結果、薬剤投与群では、有意に網膜内層厚が保たれ、また、組織学切片による評価より、残存神経節細胞数が多いことが解った。また、視神経乳頭陥凹も、薬剤投与群で有意に抑制されていることが明らかになった。 2)網膜色素変性症モデルマウスrd10に対するVCP阻害剤の視細胞消失抑制効果の検証:生後2ヶ月までに杆体細胞が消失する網膜色素変性症のモデルマウスrd10に対し、VCP阻害剤の杆体の消失に対する抑制効果の検証を行った。rd10マウスに生後7日齢からVCP阻害剤を腹腔内投与し、生後21,25,29,33日齢でOCT撮影を行い、視細胞層厚、視細胞内節外節接合部の描出状態、および網膜電図検査より視機能の評価を行った。その結果、薬剤投与群では、有意に全層網膜厚が保たれ、また、網膜電図のb波振幅低下も抑制されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験をほぼ遂行できており、結果が出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、VCP阻害剤の効果判定に関して、以下の動物モデルで検証予定である。 1)正常眼圧緑内障モデルマウスでのVCP阻害剤の網膜神経節細胞消失抑制効果の検討:グルタミン酸輸送体であるGLASTの欠損マウスでは、生後一年程度で網膜神経節細胞が変性脱落し、正常眼圧緑内障のモデルとして使用されている。このGLAST欠損マウスとThy 1-CFPマウスを交配させて神経節細胞をCFPにて蛍光ラベルしたマウスを作成、生後1カ月齢よりVCP阻害剤を内服投与し、生後3、6、9、12カ月齢にCFP蛍光眼底撮影により神経節細胞数を、OCT撮影にて網膜神経線維層厚をそれぞれ評価する。すでにマウスは使用 できる状態になっており、薬剤投与も開始、実験中である。2)網膜色素変性症モデルマウスrd12での阻害剤の視細胞消失抑制効果の検討:rd10より変性のゆっくりな網膜色素変性症モデルマウスであるrd12に、生後2カ月齢からVCP阻害剤を内服投与し、生後6、8、10、12カ月齢にて視細胞の変性度合いを評価する。すでに薬剤投与を開始している。3)網膜色素変性症モデルウサギでのVCP阻害剤の視細胞消失抑制効果の検討:生後7ヶ月までに杆体細胞が消失する網膜色素変性症のモデルウサギ(網膜色素変性症ウサギ:ヒトの変異型ロドプシンを発現させたトランスジェニックウサギ)に対し、生後1カ月齢よりVCP阻害剤を内服投与し、生後2、3、4、5カ月齢でOCT撮影を行い視細胞層の厚み、視細胞外節・内節接合部の評価、網膜電図検査により視機能の評価を行う。すでに薬剤投与を開始している。4)黄斑変性モデルマウスCCR2欠損マウスでの網膜変性抑制効果の検討:生後16ヶ月までに黄斑変性を発症するCCR2欠損マウスに対し、生後2カ月齢よりVCP阻害剤を内服投与し、生後6、10、14カ月齢にてOCT撮影、網膜電図測定、および眼底写真撮影を行い、網膜の変性度合いを評価、病態抑制効果を検証する。すでに薬剤投与を開始している。
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