研究課題/領域番号 |
24249086
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
川口 章 東海大学, 医学部, 教授 (30195052)
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研究分担者 |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
灰田 宗孝 東海大学医療技術短期大学, 看護学部, 教授 (20208408)
根矢 三郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10156169)
山野 眞利子 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80192409)
白井 幹康 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (70162758)
加納 航治 同志社大学, 同志社大学ナノバイオサイエンス研究センター, 嘱託研究員 (60038031)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人工酸素運搬体 / 虚血 / 再還流障害 / ヘモグロビン / 酸素代謝障害 / 一酸化炭素中毒 / シアン中毒 / 水素 |
研究概要 |
人工酸素運搬体およびその類縁体(以下、合成薬剤)を用いて以下の実験を行なってきた。 α)適応疾患・応用範囲の拡大: I)呼吸不全、II)心不全、III)虚血再還流の動物モデルで合成薬剤の有用性を検討する。 β)作用点・作用機序の解析: 現在までに効果の見られた疾患モデルにおいて、A)微小血管造影法、B)電気生理学的方法、C)生理活性物質モニター、D)免疫組織化学染色を含む形態学的検査、E)免疫学的手法により、人工酸素運搬体投与前後および長期的効果を比較検討する。また、酸素に対する水素などの拮抗物質を前投与することなどで作用機序の検索および確認を行う。 γ)合成薬剤の更なる修飾による最適化: リポゾーム封入ヘモグロビン(LEH)、Hemocyclodexytorin(HemoCD)、Corrphycene-Myoglobin(CpMb)のそれぞれについて、サイズ・表面処理・カプセル素材・酸素親和性などについて病態においてて検討し、対象とする病態モデルそれぞれに最適となるように、調整して、疾病毎に酸素親和性を最適化した人工酸素運搬体としている。また、その類縁体としてImCD(シアンイオンへの親和性が高い)やHemoCD3(シアンイオンへの親和性が更に高い)などを作成しシアン中毒(酸素代謝障害の例)における解毒剤としての効果を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α)適応疾患・応用範囲の拡大については、脳虚血・再還流における投与タイミングを違えて検討している。創傷治癒についても効果確認できている。放射線療法と併用することで抗腫瘍効果を増強し、化学療法剤と併用することで転移時期を遅延し転移巣を縮小することを見いだした。 β)作用点・作用機序の解析については、各種臓器(気管支・皮膚・全脳・悪性腫瘍・内耳・骨格筋)の虚血再還流実験が進み、人工酸素運搬体の効果が虚血中の酸素代謝のみならず、HIF-1αの核内移行を抑制し、再還流後の一酸化窒素(NO)代謝の関与を示唆するなどデーターが得られつつある。また、放射線療法の抗腫瘍効果を増強するのは腫瘍の酸素化によるものであり、化学療法剤との併用で転移時期を遅延し転移巣を縮小するのは、HIF-1αとMMP2を抑制する作用によるものであることを見いだした。 γ)人工酸素運搬体の合成については、同志社大との連携により、シアンによる酸素代謝障害=シアン中毒への解毒剤としてImCDを開発し実験を行った。更にシアンイオンへの結合定数及び結合速度を有するHemoCD3を開発し、動物実験をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
α)適応疾患・応用範囲の拡大:I)呼吸不全、II)心不全、III)虚血再還流の動物モデルを用いて各人工酸素運搬体の有用性を検討する。 β)作用点・作用機序の解析: 現在までに効果の見られた疾患モデルにおいて、A)微小血管造影法、B)電気生理学的方法、C)生理活性物質モニター、D)免疫組織化学染色を含む形態学的検査、E)免疫学的手法により、人工酸素運搬体投与前後および長期的効果を比較検討する。また、拮抗物質を前投与することなどで作用機序の検索および確認を行う。 γ)人工酸素運搬体の合成・修飾による最適化:リポゾーム封入ヘモグロビン(LEH)、Hemocyclodexytorin(HemoCD)、Corrphycene-Myoglobin(CpMb)に限らず、新たな2原子分子(O2,H2,NO,CO,CN)の運搬・抱合・拮抗・代謝薬を開発し、それぞれの代謝効果・薬効を検討する。それぞれについて、サイズ・表面処理・カプセル化・酸素親和性などについて病態において検討し、対象とする病態モデルに最適となるように調整して、疾病モデル毎に最適化した人工酸素運搬体・類似薬として開発する。
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