研究課題/領域番号 |
24249089
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
熱田 生 九州大学, 大学病院, 助教 (30423487)
森山 泰子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50452769)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インプラント / 界面 / 骨 / プラーク / 国際情報交換(米国) |
研究概要 |
これまでのインプラント研究より、骨を形成する骨芽細胞はある程度粗造な面を有する純チタンに接着しやすいことが報告されている一方、線維芽細胞や上皮細胞は、骨芽細胞が接着しやすい粗造面では接着が劣ることが報告されている。このように、インプラントに対して硬組織と軟組織の細胞が接着しやすい表面は異なっているため、表面構造を単純化することが困難である。本研究では種々の界面の成立機序を解明し、その知見に基づき、界面の維持安定と向上を目指すことを目的とした <細胞-チタン界面の形成機序に関する検討> 細胞がチタンに接着するためには、細胞接着性を有するタンパク質がまずチタンに接着することで、チタン上に細胞が接着できるという仮説が成り立つが、このことについてはこれまで報告されていない。ここでは、上皮細胞、骨芽細胞が基質に接着する際に必要とする接着タンパクについて、接着にどのような役割を果たしているかについて検討したところ、ある種の骨基質タンパク質やラミニン-5がそれぞれ骨芽細胞、上皮細胞とチタンの接着に一定の役割を果たしている可能性が考えられた。 <骨基質-チタン界面の形成機序と維持に関する検討> 骨とインプラントの界面には無構造層が介在することが知られているが、この層の経時的変化に対する報告はない。そこで無構造層を含むインプラント界面近接部位の骨におけるタンパク質の超微細構造学的局在の経時的変化を観察したところ、インプラント-チタン界面の形成初期にはインプラントの最近部の骨にはI型コラーゲンがほとんど認められなかった。オステオカルシン等から構成される無構造層がインプラントと骨の間に介在し、この層は時間が経過しても変化しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度当初の予定では、上記に報告した内容に加えて細菌-チタン界面の形成機序と維持に関する検討を行う予定であった。しかし、この研究についてはこれまでに報告書に記載できるようなまとまった結果は得られていない。また、上記の結果に関しても、接着タンパクをRNAi法を用いて発現抑制を行うことによってタンパクの役割を検討する予定であったが、それを行うまでに到っていない。しかし、大きな目標の中での研究進捗状況の遅れはそれほど大きくないため、研究目的の達成度としてはやや遅れているを選択した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施予定であった<細菌-チタン界面の形成機序と維持に関する検討> に関しては、今後も継続して行うことによってデータの蓄積を図ることとする。また、24年度の研究計画のうち、<細胞-チタン界面の形成機序に関する検討>、<骨基質-チタン界面の形成機序と維持に関する検討>、<結合組織(基質)-チタン界面の形成機序と維持に関する検討>については、これまでに一定のデータの蓄積を得たが、今後もさらにデータを蓄積していく必要がある。また、今年度に実施予定である<インプラント表面の機能化による生体-インプラント界面の維持向上に関する研究>は、今年度に予定通り実施する。昨年度実施予定であった研究を一部今年度に行うことについては、研究手法の同一性や設備の問題がないことより、特に今年度の研究計画に影響せずに実施可能である。
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