研究課題
1. 腫瘍随伴性マクロファージ(TAM)サブセットと免疫抑制分子産生能の解析:口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるTAM (CD163、CD204) 、免疫抑制分子 (IL-10、PD-L1) の発現と局在について腫瘍内部と腫瘍先端部に分けて検索した。その結果、CD163は腫瘍先端部と周囲の間質に、CD204は腫瘍先端部と腫瘍内部に強い発現を認めた。蛍光二重免疫染色では、CD163-CD204+とCD163+CD204+ TAMは腫瘍先端部と腫瘍内部に、CD163+CD204- TAMは腫瘍周囲の間質に発現を認めた。また、CD163+CD204+ TAMのみCD25+活性化リンパ球の細胞数との間に負の相関を示した。flow cytometryではCD163+CD204+ TAMは他の細胞分画と比較してIL-10およびPD-L1を最も強く発現していた。TAMのT細胞に対するアポトーシス誘導能を検討したところ、CD163+CD204+ TAMが最も高かった。2. TAMサブセットと臨床病理学的所見および生命予後との関連:CD163の陽性細胞数はいずれの臨床所見とも関連を認めなかったが、CD204の陽性細胞数は腫瘍径と浸潤様式との間に正の相関を認め、遠隔転移症例で有意に多かった。さらに、CD163+CD204+ TAMの陽性細胞数は、腫瘍径と浸潤様式との間に正の相関を認め、頸部リンパ節転移症例と遠隔転移症例で有意に多かった。また、腫瘍先端部の陽性細胞数をHighとLow群に分けて生命予後について検討を行ったところ、CD163+CD204+ のみHigh群で有意に無病生存率が低かった。これらの結果から、TAMサブセットの中でもCD163+CD204+ TAMが腫瘍先端部に浸潤して宿主免疫抑制分子を産生することにより、 OSCCの浸潤および転移に関与していることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Sci Rep
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
J Cancer Res Clin Oncol
10.1007/s00432-017-2398-2
Oral Oncol