研究課題
外胚葉異形成症は歯の低(無)形成と、それに起因する歯槽骨の成長不全を特徴とする先天性の疾患である。外胚葉異形成症は歯の症状のみならず、疎毛、口腔鼻粘膜の乾燥、爪甲変形、汗腺の未発達などの問題も生じるため、矯正歯科医は咬合の管理のみならず、これらの問題に対しても注意を払わなければならない。このように外胚葉異形成症の症状が現れる器官や組織の多くは皮膚付属器官であり、いずれの器官も同じような分子機構と上皮間葉相互作用(上皮と間葉組織の異なる胚性組織間で繰り広げられる相互作用)によって形成されることが知られている。そのため、外胚葉異形成症の原因遺伝子は、異なる器官に症状が認められる場合であっても、共通している可能性が高い。申請者らは、これまでにRunxファミリー遺伝子が歯や顎顔面、骨格等で果たす役割について、Runxファミリー遺伝子の様々な遺伝子改変動物を用いて検討をしてきた。昨年度においては、唾液腺におけるRunxシグナリングに着目し、Runxシグナルの新たな役割を検討してきた。上皮細胞特異的Cbfbノックアウトマウス(以下Cbfb cKOマウス)の唾液腺において、生後4週では、雄の顎下腺に特異的に局在する顆粒管組織の占める面積が有意に減少した。それに伴い、Klk1, Ngf, EgfのmRNAの発現レベルが有意に減少した。また、雄のCbfb cKOマウスでは、アンドロゲン依存性に発現するCrisp3の発現が有意に減少した。これらの結果から、Runxシグナリングの新たな役割として、生後において、性差に関わる唾液腺の形態形成、分化に関与することが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Dev Dyn.
巻: 244 ページ: 488-496
Clin Oral Investig.
巻: 19 ページ: 363-371
10.1007/s00784-014-1260-z.
PLoS One
巻: 10 ページ: 1-12
10.1371/journal.pone.0121938.