研究課題/領域番号 |
24249098
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
吉田 俊子 宮城大学, 看護学部, 教授 (60325933)
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研究分担者 |
佐藤 大介 宮城大学, 看護学部, 助教 (20524573)
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
武田 淳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (50157450)
倉恒 弘彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (50195533)
山本 あい子 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (80182608)
宮脇 郁子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80209957)
大熊 恵子 宮城大学, 看護学部, 准教授 (40284715)
霜山 真 宮城大学, 看護学部, 助教 (00626559)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 循環器看護 / 心不全予防 / 災害サイクル / 看護支援 |
研究実績の概要 |
東日本大震災後の心不全発症・増悪のリスク状態の把握、および自律神経系、睡眠時状態による定量的評価指標の明確化について、昨年度に引き続き被災地自治体職員を対象として① 自覚症状、生活状況、心理的状況(主観的な疲労状態)②腕時計型睡眠覚醒リズム解析装置(アクティグラフ)を用いた活動量や睡眠・覚醒リズムの解析、③自律神経測定装置によるECG、速度脈波、加速度脈波を用いた心拍変動解析による自律神経系、酸化ストレス度評価を行い、その経時的変化と特徴を明らかにした。平成26年度調査同意者は298名であった。全体として自律神経機能、酸化ストレス評価、睡眠効率は経時的には改善傾向であるが、有疾患群では、身体的、精神的な疲労が有意に高く、健常群に比し睡眠効率の低下が認められた。 評価結果より、研究同意が得られたハイリスク群32名に心不全発症予防にむけた教育内容を策定し、対面式面談を実施した。調査項目は、食事内容、食行動、身体活動量、塩分摂取量とし終了1、2、3、6か月後に電話やメールなどで支援を行い、平成27年度に1年後の効果を検証する予定である。 またハイリスク群以外の啓発に向け①心不全予防のためのストレスマネジメント教育プログラムの作成を行い、②看護職用心不全予防教育実施マニュアルの作成を行った。構築した教育プログラムは、震災発生直後から災害対応業務に従事してきた自治体職員を対象にそのストレスに焦点をあて、ストレスマネジメントによるセルフケア能力の向上を目的として作成を行った。一方、本教育プログラムを実施する看護職に対しては、災害サイクルに合わせて自治体職員の置かれている状況/環境、災害後のストレス状況、災害時の心血管疾患の発症・増悪リスク等を理解できるような知識と、教育プログラムの実施方法、さらに自治体職員が自らの心身に注意を向けられるような関わり方等を含めて作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被災地域自治体職員を対象として継続的な評価を実施しており、平成26年度はその成果をもとに教育的介入を実施し、現在介入経過を観察中である。また、教育介入を行わない対象者むけに広く継続的に月1回の健康相談会も開催して健康レベルを維持できるよう啓発活動に実施していく。また、看護師教育プログラムを策定しており、平成27年度は看護職を対象に、本予防教育実施マニュアルを用いて、心不全予防教育プログラムの提供に向けた説明のセッションを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、関連自治体との良好な連携のもと研究を遂行しており、引き続き被災地の心不全発症リスクを下げるための看護支援を推進していく。今年度は最終年度として、4年間の研究成果をまとめ、大規模災害による心不全発症予防に向け、災害サイクルの経時的変化を捉え新たな指標を用いた看護支援方法、および必要な看護師教育について、日本災害看護学会第17回年次大会(大会長 宮城大学 吉田俊子 平成27年8月 仙台開催予定)、また報道機関を対象とした日本循環器学会プレスセミナー(平成27年9月 演者吉田俊子 予定 東京)などにおいて、論文公表とともに広く社会に提言していく予定である。
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備考 |
日本経済新聞2014年9月10日掲載 タイトル:被災地の「疲労」客観分析 東日本大震災の被災地で自治体職員の疲労に関する調査を行い、疲労を客観的に分析し、疾病予防を目的とした、健康支援を行っていることが紹介された。
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