研究分担者 |
森島 済 日本大学, 文理学部, 教授 (10239650)
高橋 伸幸 北海学園大学, 工学部, 教授 (20202153)
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50534054)
荒木 美奈子 お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (60303880)
吉田 圭一郎 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60377083)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (80239855)
廣田 充 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90391151)
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研究実績の概要 |
ケニア山において、ティンダル氷河の動態と植生遷移の関係を調査した。2011年から2015年にかけて氷河は37.7m後退していた。その後退速度は9.4m/年であり、1997-2002年の9.8m/年、2002-2006年の14.8m/年、2006-2009年の8.7m/年、2009-2011年の7.5m/年とほぼ同等の後退速度であり、1958-1984年の2.9m/年、1984-1992年の2.9m/年、1992-1997年の3.0m/年に比べれば早い後退速度であった。 氷河末端近くで生育できる先駆的植物の4種は、2011年の調査時には積雪のために、氷河末端に最も近い生育場所が把握できなかった。したがって、2015年の調査データを2009年のものと比較して、その4年間の氷河後退にともなう先駆種の前進する速度を求めた。その結果、前進速度は、Senecio keniophytumは7.6m/年、Arabis alpinaは8.0m/年、蘚苔類&地衣類は17.6m/年、Agrostis trachyphyllaは-3.5m/年であった。 一方、氷河末端から離れた場所に生育できる4種(Lobelia telekii, Senecio keniodendron, Carex monostachya, Helichrysum citrispinum)はすべて、2015年の各種の生育前線の位置が、2011年よりも後退していた。 また、ケニア山の氷河の融氷水と山麓の湧水との関係を調査した。ケニア山および山麓域で標高毎に採水した降水サンプルの酸素同位体測定から、明瞭な高度効果が見られた。ケニア山山麓域で採水された湧水のδ18Oの値は、この高度効果直線に当てはめると、約5000m付近の水が地下にしみ出し、湧水していることが推察され、氷河の融氷水が山麓の湧水に大きく寄与している可能性が示唆された。
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