研究課題/領域番号 |
24251005
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
田中 樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (10231408)
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研究分担者 |
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
池野 旬 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40293930)
樋口 浩和 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303871)
三浦 励一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60229648)
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
真常 仁志 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359826)
伊ヶ崎 健大 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 研究員 (70582021)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 境界農学 / 水平技術移転 / 在来生業システム / 地域開発支援 / 貧困問題 / 生業複合 / 環インド洋地域 / 環サハラ地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、アフロ・ユーラシア貧困地域において、特に社会的弱者層に焦点をあてつつ、生業多様化と安定化に向けた水平技術移転の実践的展開の可能性を実証し、貧困削減に有効な実践的技術と水平技術移転アプローチを提案することを目的とする。研究対象地域を半乾燥ベルト(西アフリカ・サヘル地域、北東アフリカ、東部アフリカ、南アジア、東アジア)と湿潤ベルト(東部アフリカ、南アジア、東南アジア)に設定した。 平成26年度は、以下の取り組みと成果を得た。 1.アフロ・ユーラシア半乾燥ベルト:セネガルにおいて砂漠化対処や在来生業システムの半乾燥適合性や水平技術移転可能性に関するフィールド調査を行なった。中西部の3ヵ村を選定し、農民支援を行っている現地NGOとの連携体制を構築した。タンザニア本土の水による土壌侵食が顕著な村落への西アフリカ・ブルキナファソの在来技術の移転検証地を選定した。中国・楡林市近郊の黄土高原で古農法によるアワ作の再現試験を行った。インド北西部のハリヤナ州やラジャスタン州での在来農法や農具のインベントリーの作成を行い、ほぼ収集を終えた。なお、2013年2月以降に治安状況が悪化したニジェールから実質的に撤退することとした。 2.アフロ・ユーラシア湿潤ベルト:ザンジバル、ベトナムとインドネシアにおいて、屋敷林システムを中心とする在来生業システムのフィールド調査を行なった。特にザンジバルでは、インドネシア人研究者とともに、屋敷林の構成や土壌調査、井戸水試料の採集を行った。南インドでは、西ガーツ山脈にあるカルダモン丘陵で香辛料作物(カルダモン、ナツメグなど)と自然木が混交する共生的な営農の事例調査に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究活動は概ね予定通り進捗している。コア地域であるニジェールでは、2013年2月以降に急速に治安状況が悪化したため、フィールド研究からの撤退を余儀なくされた。その一方で、代替地であり調査の広域性を高めるために新たに設定したセネガルでの活動が進捗した。研究集会、高校・大学での特別セミナー、市民向けセミナーなど様々な機会を設定して研究成果を国内外に発信した。 研究構成員による受賞業績として、日本土壌肥料学会・奨励賞、日本沙漠学会・ベストポスター賞、第20回国際土壌科学会議・優秀発表賞およびベストポスター賞、日立環境財団・第41回環境賞(環境大臣賞、優秀賞)、システム農学会・優秀発表賞、日本農学会・第13回日本農学進歩賞、A National Seminar on Extension Management Strategies for Sustainable Agriculture: Challenges and Opportunities(インド)・ベストポスター賞の8件を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究活動を進める。なお、いたずらに広域化し散漫な研究とならないように、対象地域を意識的に絞り込み、中心課題である水平技術移転と貧困対策につながる研究の展開へと移行する。平成27年度は、貧困対策については、ベトナム中部での在地ビジネス形成に向けた実証試験を進める。水平技術移転に関しては、環サハラ地域圏のセネガルと環インド洋地域圏のインドとの地域間比較研究を行う。7月下旬にタンザニア本土とザンジバルの研究者および別経費で招へいするインドネシアとベトナムの研究者らによる国際ワークショップを、また、8月中旬には、中国半乾燥地域の古農法に関する日中合同セミナーを行うなど成果発信を意識的に行う(いずれも京都市)。研究成果を対象地域に還元するために、セネガル、タンザニア、ベトナムのそれぞれで国際協力案件の形成支援を行う。なお、活動対象地域の一部では、治安状況の不安定化や疾病の発生が懸念されているため、海外渡航安全情報や現地連携機関からの情報収集に努め、安全優先で調査活動を行なう。
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備考 |
研究メンバーの受賞業績が8件。①土壌肥料学会・奨励賞、②沙漠学会・ベストポスター賞、③第20回世界土壌科学会議・ベストポスター賞、④第20回世界土壌科学会議・優秀発表賞、⑤日立環境財団・第41回環境賞(環境大臣賞、優秀賞)、⑥日本システム農学会・優秀発表賞、⑦第13回日本農学進歩賞、⑧EMASSA-2014(TN, India)・ベストポスター賞
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