研究課題/領域番号 |
24251010
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
迫田 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, 教授 (80284131)
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研究分担者 |
峯 布由紀 上智大学, 言語教育研究センター, 准教授 (00508509)
野田 尚史 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, 教授 (20144545)
田中 真理 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (20217079)
李 在鎬 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20450695)
松見 法男 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40263652)
金田 智子 学習院大学, 文学部, 教授 (50304457)
大関 浩美 麗澤大学, 外国語学部, 准教授 (50401584)
岩立 志津夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80137885)
奥野 由紀子 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (80361880)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 第二言語習得研究 / 日本語習得 / 日本語教育 / 学習者コーパス / 言語転移 / JSLとJFL / 自然習得 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、平成24年度に策定したグランドプランに従って、高等教育機関の日本語学習者に対するデータ収集のための調査を実施した。また、国内の自然環境と教室環境の日本語学習者についても調査を行った。具体的な調査概要は、以下のとおりである。
【1】 6ヵ国の異なった言語を母語(ベトナム語、フランス語、韓国語、スペイン語、ハンガリー語、中国語)とする学習者の発話・作文のコーパス構築のための調査を8か国・地域(ホーチミン師範大学、グルノーブル第三大学、東国大学、高麗大学、コンテンプルセ大学、カーロリ・ガシュパール大学、湖南大学、台中科技大学)で実施し、約450名のデータを収集した。【2】調査は、各学習者に対し、対面調査とパソコンによる日本語能力検査の2部で構成され、前半1時間半、後半1時間半をかけて実施した。【3】国内の場合、日本語学校と地域のボランティア教室の協力の下で、海外と同様の調査を実施した。【4】対面調査の終了後は、調査に参加した学習者一人ひとりに対し、口頭能力のコメントおよび今後の日本語学習へのアドバイスを書面で与え、被調査者に対しても参加の利点を考慮した。
さらに、収集したデータに関して、以下の活動を行った。 【1】収集したデータの一部を使って、海外研究協力者たちとの共同研究を進め、国際シンポジウム(ICJLE2014)、合同コーパス・シンポジウム、各研究会等で成果を発表した。【2】コーパス構築のために、文字化規則を検討し、公開までの文字化を第一段階~第三段階まで設定し、作業従事者(若手研究者)には事前研修を行った上で文字化作業を開始した。【3】具体的なコーパス活用の研究のため、「学習者コーパス研究会」を立ち上げ、毎月、コーパスに基づく研究発表と討議を行った。【4】他分野(方言や歴史文献や母語話者)のコーパス研究者と合同でシンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は、予定していた8ヵ国・地域(ベトナム、フランス、スペイン、ハンガリー、韓国2ヵ所、中国、台湾)のすべての大学で調査を実施し、無事に日本語学習者の会話・作文データを収集することができた。また、広島では、国内の教室環境学習者(日本の日本語学校や大学で日本語を学んでいる学習者)を、広島と浜松では、自然環境学習者(日本で学校や個人指導をほとんど受けずに自然に日本語を習得している就労者や外国人花嫁など)を対象として、海外と同様の調査を実施した。さらに、昨年度発足させた学習者コーパス研究会では、毎月、コーパスを活用した研究会を行い、活発に討議した。さらに、コーパス構築のための文字化作業部会を発足させ、文字化規則の作成、文字化作業員のための事前研修を行った上で、文字化をスタートさせた。以上は、平成26年度において実施予定の活動であり、その意味では順調に進んだ。 さらに、【1】国立情報学研究所や言語資源協会と共に「言語資源の明日を考える」というシンポジウムを開催したり、【2】他分野(方言や歴史文献や母語話者)のコーパス研究者と合同で「コーパスに見る日本語のバリエーション」というシンポジウムを開催し、コーパス資源に基づく言語研究の発展に寄与できたという点で、当初の計画以上に進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
本科研は、平成26年度で終了する。そのため、【1】来年の3月には、12言語の日本語学習者(15名ずつ)と日本国内の日本語学習者の一部のデータと併せて、約200名分のデータを一般公開する予定である。【2】さらに、平成27年1月には、国内外の日本語教育関係者を対象とした国際シンポジウムを開催すること、【3】日本語学習者のコーパスデータを用いた研究も進め、具体的な書籍を出版する予定である。 平成27年度以降は、学習者コーパス研究のさらなる発展のために、【1】残りの800人以上のデータの整理と一般公開に向けての準備を進める【2】海外の追加調査および国内の日本語学習者と日本語母語話者のデータ収集と公開準備を進める【3】母語と日本語の対照研究のために、本科研で収集したデータの一部の母語データ収集を計画し、調査する【4】海外調査の研究協力者と日本の研究者とで複数のプロジェクトを立ち上げ、プロジェクト毎にテーマと研究計画を設定し、新たな科研の元で学習者コーパスのグローバル・ネットワークを構築する。
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