研究課題/領域番号 |
24251019
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
奥野 克巳 桜美林大学, 人文学系, 教授 (50311246)
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研究分担者 |
シン ジルト 熊本大学, 文学部, 教授 (00361858)
西本 太 総合地球環境学研究所, 研究部, 外来研究員 (60442539)
山口 未花子 北九州市立大学, 地域共生教育センター, 特任講師 (60507151)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動物殺し / 人類学 / 民族誌 / 現地調査 |
研究概要 |
本年度は、日本国内で研究集会を合計6回実施し、先行文献を調査し、主題設定に力を注いだ。第1回研究会(4月)では、チンパンジーの狩りをめぐる3論文、「トゥングウェ動物誌」、『アフリカの供犠』を読んだ。6月7日に日本文化人類学会第47回研究大会(慶応大学)で分科会「動物殺しの論理と倫理:種間/種内の検討」(代表:奥野)を組織し、研究成果を発表した(島田、山口、大石、シンジルト)。第2回研究会(7月)では、『ナショナル・ジオグラフィック』の密猟・動物殺しに関する7論考、『トラが語る中国史』、Frederic Keckの日本語訳された2論文を検討し、3人のメンバー(池田、大石、西本)が英語で研究途中成果を口頭発表した。10月には第3回研究会を開いて、Willerslevの論文と『牧夫の誕生』を読み、近藤の研究成果発表を行った。第4回研究会(12月12~16日)は、宮崎県椎葉村と西都市に狩猟文化の足跡を訪ね、熊本大学で、牧野厚史(熊大)、竹川大介(北九州市大)を招いて「動物殺し研究会」を開催した。加えて、動物と人間をテーマとして、12月に近藤、中上淳貴(東大院)、溝口大助、2月に大石、近藤宏(立命館大)を発表者として研究集会を行った。 海外調査として、奥野は、マレーシア・サラワク州でプナンの狩猟をめぐる調査を継続するとともに、モンゴルで池田とともに牧畜民の屠畜の視察調査を行った。シンジルトは、アムド・チベットに位置する青海省河南モンゴル族自治県において調査を実施した。西本は、ラオスで密猟や違法取引とみなされる活動を現地社会の内在的な視点から調査した。山口は、カナダ・カスカ社会で、動物殺しに関わる生態学的データを収集した。大石はフランスで動物の経済取引に関する調査を行い、吉田と中野はそれぞれニューギニア、インドネシア・バリ島で現地調査を行った。また、中上淳貴もネパールにおいて、動物殺しに関わる調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各班(表象班、経済班、生態班)から提出された研究の見通しを踏まえて、平成25年度は、国内研究集会で先行諸文献にあたって、研究の方向づけをしっかり行うことができた。また、海外調査活動も、各メンバーの努力によって、順調に実施されている。生態学的データを科研メンバーで比較するための調査項目が生態班から呈示されたが、今後、その手法を用いて調査を掘り下げていく見通しもできた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に引き続いて、海外で、動物殺しをめぐる調査研究を実施する。奥野は、マレーシア・サラワク州の狩猟民・プナン、山口は、カナダ先住民・カスカを対象として現地調査を実施する、島田は、タンザニアの野生チンパンジーの調査を行う。池田は、中国内蒙古において調査を実施し、西本はラオス、中野はインドネシア・バリ、吉田はパプア・ニューギニアで、それぞれ現地調査を実施する。シンジルトは、内陸アジアの仏教系牧畜社会で、近藤は、北方アサパスカン系先住民社会で、それぞれ現地調査を実施する。 国内では、日本文化人類学会第48回研究大会(5月)において、西本が代表者となって、「動物殺しの担い手ができるまで」と題する分科会を組織する(吉田、奥野、田川、中野が口頭発表する)。また、動物法に着目して、研究会を行うとともに、動物をめぐる存在論に関する研究会(読書会)を開催する予定である。また、平成26年末には、これまでの調査研究の途中経過報告を中心にして、全体集会を開く予定である。
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