研究課題
代表者・奥野は、狩猟に対する鳥の役割を調べるため、マレーシア・サラワク州のプナンの現地調査を7月に行い、8月に協力者・池田、大石と合流して、狩猟の比較民族誌調査を行った。分担者・シンジルトは、同一民族内部の多様な屠畜方法のあり方、伝統的な屠畜方法と市場経済との関係を調べるため、8~9月に中国新疆ウイグル自治区と青海省で現地調査を行った。山口は、西表島でイノシシ猟調査を実施し、カナダ先住民の狩猟と比較するとともに、得られた知見を反映させて自らも狩猟を実践することで猟に伴う活動や心の動きについて検証した。協力者・田川は、エチオピア・オロミア州のボラナの供犠と狩猟の現地調査を9月に行った。大石は、人間と犬の関わりについて、カメルーンで調査を行なった。近藤祉秋は、米国アラスカ州のニコライ村でサケ漁撈の参与観察および自然資源管理政策・漁撈規制に関する住民の反応に関する聞き取りを行った。数名の海外調査の予定を国内での研究会開催に切り替えて、研究を進めた。本科研が主催ないし共催して、以下の計6回の研究会を開催した。(1)関連新刊図書のブック・レヴュー検討会(9月4日、立教大学)。(2)現代民俗学会第29回研究会「獣害問題を民俗学から考える」を共催(11月14日、東京大学)。(3)「ロボット、獣害、動物殺しの調査から」と題する研究会(12月6、7日、立教大学)。(4)「動物殺しの比較民族誌」途中経過・発表会(1月22日~24日、立教大学・新座)。(5)「鳥と人間の関係学をめぐって:文化人類学と環境文学の対話/供儀、首狩り、森、インディオ」と題する研究会(2月18日、東北大学)。(6)「鳥と人間の関係学をめぐって:文化人類学と環境文学の対話II」と題する研究会(3月23日、立教大学)。本科研に関わる成果出版として、エドゥアルド・コーン著『森は考える』の訳書を刊行するとともに、シンジルト編『狩猟の民族誌』を刊行した。
2: おおむね順調に進展している
海外調査活動の計画変更を余儀なくされたが、その予算を使って、年度内に本科研主催および共催で計6回の国内研究会を開催し、当該課題に関して、途中経過の報告および活発な議論を行うことができた。また、学会誌への特集の公表は達成されなかったが、昨年度より進めていた専門洋書(『森は考える』)の翻訳を完了・刊行し、当該課題に関わる調査報告(『狩猟の民族誌』)を出版し、おおむね順調に進展していると言える。
最終年度である2016年度は、本科研のメンバーの成果論文を集めて、本科研の主題である「動物殺しの比較民族誌」をテーマとする成果出版を目指している。また、本科研では、2015年度から、人間と動物の関係に関して、とりわけ、鳥と人間に焦点を当てながら、環境文学との対話を進めてきており、上記の成果出版と並行して、「鳥と人間の関係学」と題して、専門学術書の刊行を予定している。海外学術調査に関しては、マレーシアと中国において、本科研の主題に関わる補充調査を行う予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (6件)
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