本科研の5年間の研究成果の出版に向けて研究会を組織して、内容の相互検討を行った。2016年10月末に、(1)『動物殺しの民族誌』(シンジルト・奥野克巳編著、昭和堂)および(2)『鳥と人間をめぐる思考:環境文学と人類学の対話』(野田研一・奥野克巳編著、勉誠出版)の2冊の論集を出版刊行した。それそれの成果論集への寄稿者は、(1)シンジルト、花渕馨也、池田光穂、田川玄、山口未花子、近藤宏、奥野克巳、山田仁史、近藤祉秋、(2)野田研一、奥野克巳、近藤祉秋、山田悠介、山本洋平、北川扶生子、唐戸信嘉、李恩善、河野哲也、島田将喜、宮澤楓、辻貴志、相馬拓也、菅原和孝である。
研究代表者の奥野克巳は、本科研の研究活動を統括するとともに、2冊の論集の編集に携わりながら、マレーシア・サラワク州の狩猟民プナン社会で、本科研の主題である狩猟による動物殺しをめぐる補充的な調査研究を実施した。研究分担者のシンジルトは、成果論集の編集に携わるとともに、オイラト社会にみられる異なる屠畜方法のあり方、異なる屠畜方法をめぐる論理の共通点を解明するため、内モンゴル・新疆・青海において現地調査を実施した。研究分担者の山口未花子は、カナダ先住民カスカの動物殺しに関する資料をデータ化したほか、日本でも岐阜および西表島でフィールド調査を実施し、動物殺しの様態について比較検討した。
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