研究課題/領域番号 |
24252002
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
佐々木 ノピア(KIMPHAT) 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (90382275)
|
研究分担者 |
二之宮 弘 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (10140740)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | カンボジア / 森林減少 / 炭素排出 / 森林面積 / REDD+ |
研究実績の概要 |
先進国・発展途上国はREDD+を通じた気候変動緩和に共同で取り組んでおり、熱帯雨林における炭素蓄積変化の推定はその双方にとって重要な領域となっている。炭素蓄積の変化、排出量、排出削減量、移転量を推定するには、カンボジアにおける樹種毎の変数、すなわち面積と炭素蓄積を得る必要がある。 行政区画毎の森林面積に基づく樹種データは、2002年および2006年の森林被覆調査において分析を行っている。森林調査、BEF(バイオマス拡大係数)、WD(木材密度)のデータを収集し、二次データを用いて分析を行った。具体的には、常緑・半常緑・落葉性林における約400箇所のサンプル区画から得られたデータを分析した。BEFとWDのデータは、現在のところ文献に基づいている。 3月下旬から4月上旬に、カンボジア森林管理局との共同研究により、25本の樹木を伐採し、BEF・WD推定のためのサンプルを採取した。この実験の結果は今後数か月で明らかになる。社会経済データは3月に収集され、ロイヤル・プノンペン大学で現在分析が進められている。樹種・炭素貯蔵変化予測モデル・排出量・排出削減量・移転量を用い、行政区画(30,021地点)毎の森林面積・炭素貯蔵の応用法を開発し、その結果をカンボジアおよび日本における国際学術会議で発表した。さらにいくつかの論文を選び科学雑誌で発表、いくつかが現在査読を受けている。予備的発見の議論と、この分野における研究者の知見を得ることを目的とし、2014年2月に神戸で国際シンポジウムを開催、登録者は97名、国内外の参加者は32名で、口頭発表15件、ポスター発表9件であった。 REDD+による改良森林経営モデルのシミュレーションソフトウェアを開発しており、より広範な研究を促進するべく今後公開する。基準排出レベルおよびプロジェクト排出レベル推定を目的とした別のソフトウェアも2014年に開発を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はカンボジア森林における炭素会計システムの実現を目的としている。 このシステムは、様々なスケールでのカンボジアにおける炭素貯蔵の変化・排出・排出削減・移転の推定に用いることができる。現在のところ、炭素会計システムで重要なフレームワークとなるモデルを開発し、必要な変数とパラメータを得ている。2014年中に、これら変数・パラメータを更新し、確定する。 炭素会計ソフトウェアおよびユーザーマニュアルも同様に開発を進めており、2014年後期に利用可能になる予定である。 本研究から得られた結果は、複数の国際学術会議で発表され、選定された論文が科学雑誌で発表されている。さらにいくつかの論文を国際雑誌へ投稿する準備を進めている。これらの成果から、本研究はその目的の少なくとも85%を達成したといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
森林面積・森林調査・BEF・WD・森林減少と森林劣化の要因・それら要因の緩和政策に関して、全ての必要なデータが得られ、予備分析を行った。2014年の研究活動は、カンボジア全国森林炭素モニタリング方法が中心となり、低下コストでモニタリングができる方法を研究するためオーストラリアアデレード大学研究者と共同研究を行い、2014年9月から2015年2月末までアデレード大学で滞在する予定。また、炭素モニタリングモデルの変数・パラメータの更新が完了次第、REDD+用ソフトウェアを完成させ、森林減少・森林劣化の削減、森林管理と炭素移転(自然再生と管理介入改善による炭素貯蔵の増加によるもの)の改善から達成される炭素排出削減の会計に利用可能にする。 研究成果を広めるため、2014年度には多くの学術会議にて発表し、多数の雑誌論文を発表する予定である。さらに2014年後期には/Land/国際雑誌の特別号「REDD+」が発行される予定である。
|