地球温暖化防止における温室効果ガスの排出削減のため、様々な対策が講じられてきた。発展途上国における森林減少・劣化等による温室効果ガス排出量の減少(REDD+)は、可能な炭素排出削減量が多く、低コストで持続可能な開発に繋がる事から、国際温暖化防止交渉において注目されている。しかし、REDD+に参加するためには、途上国において測定・報告・検証システム(MRV)を作成し、特に炭素排出参照レベル(REL)を推定しなければならない。本研究では、カンボジアを事例として、森林炭素蓄積変化、REL及び炭素排出削減可能な量の推定方法を検討した結果、MRVシステムを提案する。本研究は、カンボジアの全1618コンミューンにおいて、各林種面積の2002年と2006年のデータを基に、森林面積変化解析と予測を行い、森林炭素量を測定するための森林調査データとして、25種木の本数から、バイオマス拡大係数及び木材密度を解析した。その結果、年間森林面積変化は1.2%、森林減少による2002年~2006年の年間炭素排出量は約5700万トンCO2と算出された。過去における変化アプローチによると、カンボジアのRELは5100万トンであり、森林面積増加による炭素吸収可能な年間量は1120万トンと予測できる。これらより、カンボジアにおいて森林減少・劣化防止対策を導入すると、年間3620万トンの炭素排出削減量を見積もることができ、我が国の京都議定書第一約束期間炭素削減目標の46%に匹敵する。
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