本研究は、我々Microlensing Observations in Astrophysics (MOA) グループが行っている重力マイクロレンズ による系外惑星探査 を5 年間継続する事によって、主星の周りを回らない「浮遊惑星」の発見数を増やし、その存在量、質量分布を見積もる。本研究では、イベント検出の信頼性を増すために61cm望遠鏡で追観測を行った。これら浮遊惑星は、星の周りで形成された後に、他の惑星や星との重力的相互作用で軌道から弾き飛ばれてできたと考えられている。一方、従来の観測で見つかっている系外惑星は、全て星の周りを回っており軌道に残った惑星である。従って、本研究で浮遊惑星の存在量を正確に見積もる事で、元々惑星系でどれだけの惑星が形成されて、その後どのように進化したかを初めて見積もる事ができ、この情報をもとに惑星の形成過程の解明をする。H26年度からH28年4月まで、銀河系バルジが観測可能な2月から11月に、日本のメンバーがNZに行くと同時にNZ現地観測員を雇う事で、1.8m望遠鏡で22領域 (50平方度)を高頻度観測し、毎年約600個、合計約2400個のマイクロレンズイベントをリアルタイムで発見し、アラートを世界に発した。そのうち数十個はタイムスケールの非常に短い浮遊惑星候補で、順調に統計をためてきた。H28年4月までに、当初予定の8割程度のデータ取得に成功した。現在、これまでに観測されたデータを再解析して、光度曲線をつくり、イベントの選別を行い、統計的にまとめる準備をしている。
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