研究課題/領域番号 |
24253006
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 博 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80184935)
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研究分担者 |
城岡 竜一 独立行政法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任技術研究員 (20222432)
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (50335022)
大東 忠保 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教 (80464155)
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (90222140)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 台風の初期渦 / 積乱雲内の強い渦 / 偏波レーダ / ドップラレーダ / 雲粒子ゾンデ / 雲微物理過程 / 降水雲群の形成過程 / パラオ |
研究概要 |
近年,非常に強い台風の発生数の増加が懸念されている.数値実験による台風の研究は進みつつあるが,台風の発生に関する現地観測は非常に少ない.特に,西太平洋熱帯域における発生期の台風に関する観測研究は非常に少なく,台風の本質的な理解にとってネックとなっている.最近有力な考え方として提唱されている,強い渦をもつ積乱雲と上空の層状雲域に渦を持つ直径200㎞程度のメソ降水系の集合による台風のもとになる初期渦の発生の可能性について観測的に解明するために,この降水雲群が頻繁に発生するパラオ共和国に偏波レーダ及び雲粒子ゾンデ受信機を持ち込み現地観測を行った.平成24年度末までに機器の搬入設置を終え,平成25年5月30日から観測を開始し,7月1日の観測終了日までに3回の顕著な降水雲群を観測した.平成25年度中に,偏波レーダ及び雲粒子ゾンデに関する十分な観測データを取得することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台風の初期渦を発生させる降水雲群の構造と形成過程を解明するために,パラオ共和国バベルダオブ島北端に名大地球水循環研究センターの偏波レーダを平成24年度中に設置し,研究分担者の城岡が所属する海洋研究開発機構がパラオ共和国アイメリークに設置しているドップラレーダとネットワークを組み,強い渦を持ち圏界面に達する背の高い積乱雲(VHT)や層状雲域に渦度を持つ降水システム(MCV)の観測を行う体制を整えた.平成25年5月30日から7月1日観測期間中に,最終的に台風になった降水雲群3ケースをレーダによって観測した.これらのケースを中心に19個(17個は名古屋大学が用意した分,2個は海洋研究開発機構が用意した分)の雲粒子ゾンデを放球し,層状雲域の水晶及び雲粒子の形状と数濃度を観測した.観測期間中に海洋研究開発機構の観測船「みらい」のドップラレーダ観測とラジオゾンデ観測があり,注目している降水雲群の観測データが得られ,共同でデータ解析を開始した.これらの観測データの解析を進め,国内会議及び国際会議での研究発表の準備を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中に雲粒子ゾンデを使いきったので,平成26年度は特別観測を実施せず,現地で一部補助的な観測を行うだけにとどめる.平成25年度に取得した観測データを整理し,解析を行うとともに数値実験を行い,国内外の研究会や学会で多数の研究発表を行ない,研究成果を論文にまとめる.
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