研究課題/領域番号 |
24254005
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
溝口 明則 名城大学, 理工学部, 教授 (20297336)
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研究分担者 |
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
下田 一太 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (40386719)
佐藤 桂 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (80454198)
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
池内 克史 東京大学, その他の研究科, 教授 (30282601)
大石 岳史 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80569509)
杉山 洋 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, その他 (50150066)
久保 純子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90275967)
小川 英文 東京外国語大学, その他部局等, 教授 (20214025)
小野 邦彦 サイバー大学, 国際文化学部, 教授 (50350426)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カンボジア / クメール王国 / クメール建築 / 地方寺院 / プレア・ヴィヘア寺院 / 建築学調査 |
研究概要 |
平成24年度,私たちのチームは正式にMOUに調印することで,プレア・ヴィヘア寺院を対象とした現地調査行動について,カンボジア政府の正規の承認を受けることになった。 現地調査は,夏期,冬期、春期の3次にわたって実施し,GPSおよび光波測定機を用いた伽藍全域の精密実測調査は,計画の70%程度を完了することになった。また,伽藍内の一部の遺跡を対象とした3D実測調査,崩壊している中央祠堂の復原のための痕跡調査,失われた10世紀末頃の木造屋根の痕跡調査と復原案の策定,伽藍の規模および配置に関する寸法計画における手順の復原研究,石材の帯磁率調査,地形に関する基礎調査,考古学調査のための基礎調査等々を行った。 タイ国との国境に接する辺境の伽藍であることや,山頂まで続く実測調査の難しい地形に位置する伽藍であることなど,現地調査における不利な条件を考慮すれば,初年度の調査成果は,当初の予想よりも大きく進展したといえる。 しかし,基礎資料を含め,学術的成果を公表できるまでには,現地調査において,さらに多くの努力を要するとともに,分析研究においても比較研究を含めた展開が必要と考えられる。これら平成25年度調査の方向性が明確になりつつあることも,平成24年度の現地調査が大きく進展した成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンボジア王国の辺境に位置するプレア・ヴィヘア寺院は,移動,宿泊等が容易ではないため,現地に長期間滞在して調査を進めることが難しい。また,平地伽藍と異なり,中腹から山頂へ至る800mの長大な伽藍を有した特殊な遺跡である。さらに,現地スタッフ,現地との協力関係などについても,調査対象として通常よりも困難な状況が予想されていた。 しかし,現地との良好な協力関係が実現でき,最も労力と時間を要する精密実測調査の作業過程が予想よりも大きく進展したため,崩壊,消失した遺構の復原調査を開始することが可能となり,一定の進展を見ることになった。これらの現地作業については,当初の計画以上の進展を見ることになった。3D実測調査,地理学調査,岩石学調査等も,おおむね順調に進んでいる。一方,考古学調査など一部の調査は,山頂まで延びる伽藍の地形上の特徴などが原因となって,当初の計画よりもやや遅れている。 当初危惧されていた問題は概ね解決し,調査内容によって多少の相違が残るが,総じて,調査計画,研究計画は順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,クメール王国の各地に展開した地方拠点,地方寺院を対象とした研究である。現在,その中でも有力な寺院のひとつであったプレア・ヴィヘア寺院を対象に調査を進めているが,この寺院遺跡を十分に理解するためには,20世紀前半に公表されたフランス極東学院の先行研究の成果を注意深く点検する必要があり,とくに当該寺院の形成過程については再考すべき点が多く残されている。これらの問題を検討するために,今後も継続する痕跡調査とともに,同時代に建立されたと考えられている他の寺院遺跡との比較研究が要件であり,今後,早い時期に各地の調査を進める必要が生じている。 また,地方拠点として重要な遺跡であるプレア・カーンなど他の遺跡うを対象とした調査の準備を進める時期にきている。対象遺構によっては,6月から9月にわたる雨期には調査が困難なものもあり,プレア・ヴィヘア調査と並行して乾期の限定的な調査を開始する予定である。
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