研究課題
境界域東南アジア熱帯雨林に属する拠点タワー観測サイト(Pasoh)において、下記3点の課題を設定し、研究を行っている。課題1.乱流変動法によるタワーフラックスおよび微気象の長期観測を増強して行い、最終的には14年分のデータセットとし、幅広い環境変動に対するNEE・蒸発散、ならびに気孔開閉・光合成・生態系呼吸の応答特性を定量評価する。課題2:バイオマス動態の長期調査結果から、バイオマスおよびネクロマス参入量変動の22年分のトレンドを抽出する。これに直径変動データから得られた短期バイオマス応答に関する情報や枯死率・分解率に関する情報を加え、タワー観測により得られた情報とのクロスチェック解析を行うことで、バイオマス、ネクロマス、NEEの三者がどのように振動しながら動的平衡を保っているのかを定量評価する。課題3:これらの情報を統合し、動気候変動が熱帯雨林―大気間の交換過程に与える影響について考察する。またその結果をもとに、いくつかの広く使われている生態系動態数値モデルについて評価・提言を行う。平成27年度は、タワー観測およびバイオマス動態調査を継続して行い、同時に観測体制の整備やマレーシア側協力期間での人材育成を行った。タワー観測およびバイオマス動態調査はそれぞれ13年および21年のデータベースとし、これらをもとに様々な解析を行った。特にバイオマス、ネクロマス、および生態系フラックスのクロスチェック結果と、土壌水分動態に関する結果を取りまとめた。
2: おおむね順調に進展している
課題1について、タワー観測およびバイオマス動態調査を継続し、同時に観測体制の整備やマレーシア側協力期間での人材育成を行った。タワー観測およびバイオマス動態調査はそれぞれ13年および21年のデータベースとし、これらをもとに様々な解析を行ってきているが、特にバイオマス、ネクロマス、および生態系フラックスのクロスチェック結果を取りまとめ、学術誌に掲載予定である(Yoneda et al, 2016)。また土壌水分動態に関する結果についてとりまとめ、学術誌に掲載予定である(Noguchi et al, 2016)。成果として、3報の学術論文および6件の学会発表を行った。以上の点から、概ね順調に進展していると考えている。
最終年度である平成28年度は、ひきつづきタワー観測およびバイオマス動態観測を継続できる体制を完備するとともに、今後の長期観測継続にむけたマレーシア側協力期間との調整を含む新体制の整備を完了し、次フェーズへの橋渡しとする。統一データベースを完成させるとともに、各課題解析を調整し、データベースおよび解析結果の最終版を公表する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
Tropics
巻: 25 ページ: in press
Journal of Tropical Forest Science
巻: 29 ページ: in press
Chinese Journal of Plant Ecology
巻: 39 ページ: 541-553
10.17521/cjpe.2015.0052
http://www.bluemoon.kais.kyoto-u.ac.jp/pasoh/
http://www.bluemoon.kais.kyoto-u.ac.jp/pasoh/japanese.html