研究課題
底生性渦鞭毛藻Ostreopsis属の基準種であるO. siamensisを、その原記載地のタイ湾中部東岸のチャン島で2014年7月にプランクトンネット試料とサンゴや海藻付着物から採集した。タイと日本の研究室で固定試料の細胞を測定するとともに,それぞれの研究室で培養株を作成した。天然試料からは,細胞サイズは比較的小さいものの,湾曲した側面観と楕円の上殻観から原記載の模式図に示されたO. siamensisに相当する細胞が発見された。また作成した培養株を遺伝子塩基配列の解析に供し、原記載地から採集されたO. ovataおよびマレーシアで採集されたO. lenticularisとともに比較解析を行っている。シガテラ毒魚に関しては、前年度から継続してベトナム南部沿岸域でフエダイなどおもにサンゴ礁域に生息する魚を採集して毒分析を行ったが、毒化魚は採集できなかった。しかし、2014年7月17日にホーチミン市でフエダイによる食中毒が起き、その症状がシガテラ中毒に酷似していたので、患者の食べ残しを入手して我が国の水産研究所で各種分析を行ったところ、シガトキシン1Bを主成分とする毒性が確認できた。この毒主成分から、南シナ海ベトナム沿岸のシガテラ毒魚は太平洋域に広く分布する毒魚と同一の系群であり、インド洋のものと異なると考えられた。また、2014年ベトナムのニャチャンで開催されたWESTPAC科学シンポジウムにおいて、東南アジア各国の共同研究者を集めて、各国で発生したシガテラ様の中毒について検討会を開催したところ、各国からシガテラと思われる中毒の発生だけでなく、パリトキシンやオストレオシンやオヴァトキシンによると症状を示す中毒まで含めてシガテラとする報告があり、これら数種の毒による中毒を早急に整理する必要があると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件)
日本プランクトン学会報
巻: 62 ページ: 22-28
Harmful Algae
巻: 40 ページ: 51-62
Malaysian Nature Journal
巻: 66 ページ: 171-181