研究課題
基盤研究(A)
研究代表者は、アジア太平洋臨床生化学連合と国際臨床化学連合(IFCC)の基準範囲判断値委員会(C-RIDL)の共同企画として、2009年に東・東南アジア地域で大規模に基準範囲設定国際調査をその代表として実施し、基準値の地域差や変動要因を系統的に解明した。その成果を受け、2010年C-RIDL委員長として同様の調査を世界規模で実施することを計画した。その実施戦略として①共通のプロトコールで国別に健常者を募って採血・測定、②標準化対応検査は、認証標準品で値を標準化、③未対応検査に対しパネル血清の比較測定により試薬間差に対応することなどを計画、2011年に承認された。2012年度は、トルコ3200名、日本650名、中国450名、米国500名の基準個体から採血が行われ主要臨床検査項目(生化学、免疫、腫瘍マーカ、ホルモンなど)の測定が完了した。同夏に行った予備解析により、一部検査項目で測定値の地域差を認め、また肥満の基準値への影響に人種差のあることを示唆する結果を得た。また、新たにサウジアラビア800名、南アフリカ2400名、フィリピン1200名、インド500名、アルゼンチン500名の参加が決まり、各国を訪問して調査の実施法について協議を行った。それらの測定値は2013年夏までに揃う予定である。一方、各国の測定値を共通試料(パネル血清)の測定値に基づき統合できるようにするためのデータマネージメントシステム、および調査結果(基準値の変動要因と基準範囲)のWeb上での閲覧を可能とするシステムの開発作業を行った。各システムは2013年度夏までには試験運用が可能となる見込みである。
1: 当初の計画以上に進展している
どの国でも目標データ数が大きいため、募集・採血に予想以上の時間を要している。しかし、2012年度達成の総データ数4800人は、当初の予想(3000人)よりも大きく増えている。また、参加協力国の数が順調に増えており、2013年度のデータ数も大きく伸びる見込みとなっている。一方、各国のデータの統合に不可欠となるデータマネージメントシステムのプログラム開発も順調に進んだ。
新たに、タイ、ベトナム、ロシア、デンマーク、オランダの参加希望が寄せられており、各国を訪問してよく協議し、2014年度前半の調査の完了を目指す。また、基準値の変動要因の解析と基準範囲を設定するプログラムを一般化し、それを供与して各国でも利用できるようにする。これにより、我々研究チームの負担の軽減を図る。また、パネル血清の残り数が減少したため、新たなパネル血清を作成することで、より多くの国が参加できるようにする。また、新パネル血清を世界の基幹ラボに配布し測定してもらい、世界規模調査の成果(基準値の変動要因と基準範囲のエビデンス)を、直線関係式による値の変換により利用してもらえるようにする。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
Clin Chem Lab Med
巻: 51 ページ: 1429-1442
10.1515/cclm-2012-0421
巻: 51 ページ: 1443-1457
10.1515/cclm-2012-0422
巻: 51 ページ: 663-667
10.1515/cclm-2012-0413
巻: 51 ページ: 1007-25
10.1515/cclm-2013-0248
巻: 51 ページ: 1027-40
10.1515/cclm-2013-0249