研究課題
2011年末に開始した、IFCCの基準範囲判断値委員会(委員長:研究代表者)による世界規模基準値(健常者における臨床検査値)調査は、2012年度にトルコ3188・日本650・サウジ835・US500・中国482名を対象とした調査が終わった。2013年度の国別の調査対象者数は、US追加395・南アフリカ1200・インド512・アルゼンチン520・中国追加3154・ロシア800・フィリピン820であった。各国のデータは共通に測定しているパネル血清の測定値により、新規開発のデータマネージメント・システムを使って統合(任意の国の値との直線回帰式を全組み合わせで求め、国間の偏りを調整)を行った。そのデータ分析の結果、CRPなどの炎症マーカ検査の一部で、国間差を認めた。また、肥満度BMIに大きな国間差を認め、かつBMIと検査値への影響に人種差があることを明らかにした。その内容は、2013年6月のIFCCのMilan会議の際に検討を行い、同時に国際誌に報告した。一方、新たな参加国として、ネパール、バングラディシュ、パキスタンからの照会があり、その条件について協議を行った。この結果パネル血清のストックが不足することが判明し、新規パネルの作成作業を2013年末より開始した。また、測定値の標準化をより的確に行うべく、ドイツの基準測定施設の協力を得て、値づけ作業を行う計画を立てた。しかし、パネル血清作成の一連の作業に予想外に時間を要し、予算の一部を翌年度に繰り越した。また集積したデータのWebページへの公開は、論文発表後に行うこととなり、その開発をいったん保留することとなった。
3: やや遅れている
国際間で測定値を比較するためパネル血清のストックが無くなり、新たなパネル血清を作成する必要が生じ、100名余りの健常者から採血を行った。また、それを小分けする作業(パッケージ化)と値づけする作業があり、どちらの作業も大幅に時間を要した。
パネル血清の有無によらず、ネパール、パキスタン、バングラディシュの参加が決まり調査は拡大をつづけている。また標準値が付与された新しいパネル血清の作成により、それを供与する条件で関係企業の支援を受けやすくなり、本研究をより長期にわたって継続できることになる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)
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