研究課題/領域番号 |
24300006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿草 清滋 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (90026360)
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研究分担者 |
山本 晋一郎 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (40240098)
小林 隆志 東京工業大学, 情報理工学研究科, 准教授 (50345386)
渥美 紀寿 名古屋大学, 情報連携統括本部, 特任助教 (70397446)
手嶋 茂晴 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (50394599)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多品種並行開発 / 構成管理 / トレーサビリティ管理 / 開発活動履歴解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,機能の細部が異なる同種の製品を継続的に並行して開発する多品種並行開発において,それぞれの環境に適応するようカスタマイズしたソフトウェアバリアント(バリアント)を管理・運用するための新しい開発手法を確立することである.仕様策定から完成までのバリアントのライフサイクルモデルを定義し,モデルに基づく新しい変更管理手法や構成管理手法を定義することによって開発の効率化を計る. 本年度は,効果的な多品種並行開発において必要となる共通性を認識するためのトレーサビリティ管理,マルチバリアントコードの複雑な依存関係を抽出する手法,バリアント実装方法に応じた不具合修正支援手法について研究をおこなった. 版管理システムに記録されている過去の変更履歴を分析することにより,ソフトウェア成果物間の依存関係を抽出しトレーサビリティ情報を復元する手法において,時間的近接性の考慮と,大規模な変更に対する取扱い方法の影響を調査し,依存関係の抽出精度を向上させる手法を明らかにした.また,長期間の実開発における履歴情報を分析することによって,統合開発環境に対する操作の履歴を用いることによって,版管理システムの情報のみを利用する場合と比べ,高精度に依存関係が抽出できることも明らかにした. また,構築管理ツールの設定ファイルに複雑に記述されているバリアント構成に必要な依存関係を,構築管理ツールの実行履歴を分析することによって抽出し,バリアント構成毎のプログラム解析を容易とする手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレーサビリティ情報の自動復元に関して精度を向上させる一定の成果を得ている.また,構築管理の実行ログからバリアント構成に必要な依存関係の復元を支援する手法を開発している.
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今後の研究の推進方策 |
バリアント設計実装手法の一部として,引き続き,バリアント実装方法に応じた不具合修正支援手法の検討を行う.コンパイルスイッチを利用したマルチバリアントソフトウェアを対象とし,バリアント構成を表現するコンパイルスイッチを特定する手法の開発を目指す. また,これまでに開発したトレーサビリティ構築・復元手法を利用し,バリアント関係にある仕様箇所を特定する手法について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
バリアントライフサイクルモデルに基づく構成管理システムのプロトタイプを構築する予定であったが,構成管理手法,トレーサビリティ管理手法の検討・洗練に関する調査及び成果発表を優先することとした.プロトタイプを構築するための予算執行をH27年度に繰り越すこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
トレーサビリティ復元,構築ログ解析,バリアント構成のためのコンパイルスイッチ解析の各手法について実用規模の適用実験のための必要機器の購入及び研究補助の雇用,成果の発表を行う予定である.
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