研究課題/領域番号 |
24300010
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
細部 博史 法政大学, 情報科学部, 教授 (60321577)
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研究分担者 |
中島 震 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (60350211)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソフトウェア / デバッグ / 制約 |
研究実績の概要 |
本研究はソフトウェアの自動デバッグ方式の構築を目的とし,特にプログラムの誤り特定手法の開発に重点を置く.そのためのアプローチとして制約の概念を採用する.具体的には,事後条件違反を生じる入力をモデル検査によって求め,入力,プログラム,事後条件から制約充足問題を構成した上で,違反の原因となった制約を特定し,プログラム中の対応する部分を誤り箇所の候補として提示する.本研究では効果的な誤り特定を行うために,特に柔らかい制約の考え方を採用する.本研究ではこのような柔らかい制約を用いた自動デバッグ方式を構築し,C言語を対象とする自動デバッグツールを開発する. 平成26年度には,充足可能性判定を用いた形式検証手法に,Reiterのモデルベース診断理論を組み合わせた誤り箇所特定手法について研究した.従来手法の多くが1つの誤りを含むプログラムしか考慮していないのに対して,本手法は複数の誤りを含むプログラムを扱うことが可能である.本手法では複数の誤り箇所を特定するために,全ての診断を計算するアルゴリズムと,それらを組み合わせるアルゴリズムの2つを中核として採用している.これらのアルゴリズムの実現には,部分最大充足可能性判定を用いた.また本手法に基づいて,C言語を対象とする自動デバッグツールを開発した.この他にも,柔らかい制約処理において,従来の極小充足不能集合に加えて極小補正集合を組み合わせるための研究を推し進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソフトウェアの自動デバッグ方式に関する研究は順調に進展しているが,柔らかい制約の高度活用に関する研究成果を国際会議で発表する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
研究目標であるソフトウェアの自動デバッグ方式の構築に向けて,柔らかい制約を高度に活用したプログラムの誤り特定手法の開発に重点を置きながら,C言語を対象とする自動デバッグツールの開発を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に柔らかい制約の高度活用に関する国際会議発表を行わなかったことと,本研究費による海外在住の研究協力者の招聘を行わなかったことにより直接経費次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
ソフトウェア工学または制約プログラミングに関する国際会議で柔らかい制約の高度活用に関する研究発表を行う.また,海外在住の研究協力者を本研究費によって招聘することを予定しているが,詳細は調整中である.
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