研究概要 |
以下の技術開発を実施した.(1)複数の移動量検知センサーを用いた行動センシング技術の開発:多くのスマートフォンが備える加速度センサー,電子コンパスの情報から特徴量を取り出す技術を開発している.複数のセンサーの相関関係に着目して特長量を抽出し,冗長な情報を削減することでセンサーデータ量抑制とならびに行動判定精度向上を実現している.(2)人の行動モデルの開発とそれに基づく行動推定技術.行動パターン記録実験を行い,パターン分類とそれを他のパターンを区分するための特徴量分類を実施した.また,行動遷移をモデリングし,(1)で得られる歩行リズムや方位,方向変化の情報を用いてパラメータを推測するモデルを得ている.(3)モバイル端末による通信モニタリングに基づく人々の近接性推定技術:多くのモバイル端末が有するBluetoothが標準で発するinquiryメッセージからMACアドレスと電波強度を取得することで近隣端末の存在情報を得る技術を開発している.商業施設などでは無線LANとの周波数干渉や,人々の密集による隠れ端末などの影響で,十分近接しているデバイス間でもメッセージ受信ができない状況も想定されるため,複数のモバイル端末からの受信ログ情報を集約して送受信関係をグラフ化し,本来メッセージを受信した確率が高いと想定される端末間の通信情報を補完するアルゴリズムとしている.(4)地理情報データの解析のための基本アルゴリズム検討.近年の地理情報データは詳細度が高い位置情報が得られるため,それらを活用して人々の位置と行動を絞り込むアルゴリズムを開発している.(5)位置行動推定アルゴリズムの基礎検討:(4)で得られる地理情報データ上での解析データ集合から,(1)~(3)で得られるセンサー・通信の観測データが最も一致する解析データを高速マッチング検索し,その解析データに対応するモバイル端末の位置と行動をそのときの推定結果とする位置行動推定アルゴリズムの基本設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した5つの実施項目,(1)複数の移動量検知センサーを用いた行動センシング,(2)人の行動モデルの開発と行動推定技術.(3)モバイル端末通信に基づく人々の近接性推定,(4)地理情報データ解析基本アルゴリズム検討,および(5)位置行動推定アルゴリズムの基礎検討,が実施できている.関連して論文誌2件,査読付国際会議5件の対外発表を実施している.
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