研究課題/領域番号 |
24300028
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
角田 良明 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (40233671)
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研究分担者 |
小島 英春 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (90610949)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アシュアランス / MANET / 見守りシステム / 自律構成 / 自己組織化 / ルーティング / モビリティ / デンシティ |
研究概要 |
アシュアランスネットワーク設計原理の具体化を進めるとともに、アシュアランスネットワーク設計原理の有用性を明らかにするために、下記の通り、MANETの自己組織化送信電力制御法を提案し、シミュレーション実験で評価するとともに、MANETに基づいた展示評価情報伝搬・収集システムを開発し、菓子博覧会や大学祭において実証実験を実施した。 1.自己組織化送信電力制御法 MANETの自律分散クラスタリングにおいて、隣接ノード間の距離により各クラスタ内の面積とノード数を推定し、そのクラスタ内の送信電力をノード密度に応じて調整する自己組織化送信電力制御法を新たに提案した。また、ノードが特定の領域に移動してノード密度が大きく変動する移動モデルを用いて提案法をシミュレーション実験により評価し、データパケット到達率を維持しながら消費電力量を10%以上削減できることを確認した。この成果により、ノード密度が空間的にも時間的にも大きく変動するネットワーク環境においても各クラスタが独立してそのクラスタのノード密度に適した電力でパケットの送信を制御できるようになった。 2.展示評価情報伝搬・収集システム Android端末によるBluetooth MANET に基づいた展示評価情報伝搬・収集システムを開発した。平成25年4月19日から5月12日まで旧広島市民球場跡地で開催されたひろしま菓子博覧会および10月26日、27日広島市立大学で開催された大学祭において実証実験を実施し、端末静止時のマルチホップ伝送および端末移動時の接続性に関するネットワーク性能を評価した。その結果に基づいて、隣接端末による経路が存在する場合にリアルタイムに情報を伝送するマルチホップ伝送と隣接端末が存在しない場合でも情報を蓄積し新たな端末が近づいたら情報を伝送する蓄積伝送を、隣接端末の状況に応じて動的に切り替える伝送方式を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己組織化送信電力制御法の提案によりアシュアランスネットワーク設計原理の具体化を進めるとともに、展示評価情報伝搬・収集システムを開発し、アシュアランスネットワーク設計原理の有用性を明らかにした。これらを含めて、雑誌論文16件(そのうち国際会議論文15件)を公表している。
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今後の研究の推進方策 |
アシュアランスネットワーク設計原理の構成技術を引き続き検討するとともに、それを応用した実証実験システムを構築し、アシュアランスネットワークが満たすべき性質を評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度総務省情報通信研究開発推進制度ICTイノベーション創出型研究開発(フェーズI)「アシュアランスネットワーク設計原理に基づいた平常時災害時両用システムの研究開発」の採択により研究費に少し余裕が生じたため。 次年度は3年計画の最終年度であり、実証実験において学生を雇用するための人件費・謝金および研究成果を発表するための旅費に使用する予定である。
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