研究課題/領域番号 |
24300030
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
佐藤 健哉 同志社大学, 理工学部, 教授 (20388044)
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研究分担者 |
程 俊 同志社大学, 理工学部, 教授 (00388042)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ITS / V2X Communication / Network Architecture |
研究実績の概要 |
車々間・路車間通信で安全運転を支援する協調型ITSに関して,欧米が歩調を合わせて統一したITSネットワークアーキテクチャを構築し,その国際標準化を狙っている.欧米では,日本で利用可能な帯域の7~8倍の広帯域な無線通信が利用可能であり,これを前提に欧米のネットワークアーキテクチャが設計されている.日本においては,そのアーキテクチャではシステムを設計・実施することができない.そこで,欧米のアーキテクチャの本質的な目的である位置透過性を論理的に実現しつつ,日本の実情である狭帯域車々間・路車間通信に適したITSネットワークアーキテクチャを構築した. 車々間通信と携帯電話網を併用した効率的な位置検索サービスを適応することで,既存手法におけるオーバヘッドの抑制を行うことができ,シミュレータ評価により,既存手法と比較して送信パケット数の削減ととパケット到達率の向上が確認できた 一方で,通信方式に関して,複数アンテナを用いた無線通信システムでは,アンテナ同士の干渉や高速移動で生じる雑音によって,信号に誤りが発生するために誤り訂正符号を付加する必要がある.ここでは,エルゴード性MIMO通信路のための多元並列連接符号を提案し,車車間通信の通信路環境が変化しても柔軟に対応することが可能であり,提案符号が理論限界に近い復号性能を得られることを理論解析で示した. 最終的に,京都スマートシティエキスポのデモンストレーションとして,複数の自動運転車両および路側センサに路車間通信,車々間通信の2種類の通信機能を搭載し,実際のクラウドにデータを集約し地図データと重畳できるダイナミックマップのシステムを構築した.各車両からクラウドのデータを利用できるとともに,一般のスマートフォンなど歩行者の携帯端末からも閲覧となるような実証実験を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際標準化機構ISOのITS専門委員会TC204に対して,ISO/DIS 24106-6 Intelligent Transport Systems - Communications Access for Land Mobiles (CALM) - ITS Station Management - Part 6: Path and Flow Managementとしての標準化提案が一部遅れたが,研究成果に関してシミュレーションで検証するとともに,京都スマートシティエキスポのデモンストレーションとして,複数の自動運転車両および路側センサに路車間通信,車々間通信の2種類の通信機能を搭載し,実際のクラウドにデータを集約し地図データと重畳できるダイナミックマップのシステムを構築し,各車両からクラウドのデータを利用できるとともに,一般のスマートフォンなど歩行者の携帯端末からも閲覧となるような実証実験を実施することで,それぞれの研究項目に関してはおおむね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
欧米のアーキテクチャの本質的な目的である位置透過性を論理的に実現しつつ,日本の実情である狭帯域車々間・路車間通信に適したITSネットワークアーキテクチャを構築し,世界標準策定中である.現在は国際標準一歩手前のDIS(Draft International Standard)の段階であるが,引き続き世界標準としての最終策定であるIS(International Standard)の段階まで目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際標準化提案が遅れ,2016年4月24日から29日に米国カリフォルニアで開催の国際標準化機構総会への旅費支出が年度末ぎりぎりとなり,予算執行の延期申請をしたが,旅費,宿泊費に関しては年度内で執行可能となった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究報告書の作成および研究成果のWebページ掲載に利用する.
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