研究課題/領域番号 |
24300031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 一郎 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (80282896)
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研究分担者 |
中島 達夫 早稲田大学, 基幹理工学部, 教授 (10251977)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分散システム / 適応性 / サービス基盤技術 / ミドルウェア / 耐故障性 / クラウドコンピューティング |
研究概要 |
柔軟性(Resilient)により強健(Robust)な分散システムを構築・管理する手法を明らかにする。分散システムにおける様々かつ未知の変化に対応するために、生物のメタファを導入したミドルウェアを設計・実装・評価していく。具体的には次の4つの研究項目からなる。(1)分散システム上のソフトウェアエージェントが配置され、各エージェントは他のエージェントや外部システムから呼び出せる機能をもつとともに、外部からその機能の移譲回数が多いエージェントに実行を移譲させることで、細胞の分化・脱分化による適応化アルゴリズムを分散システムに導入していく。(2)分散システムにおける適応化の難しさは適応化が独立&非同期で行われるため、その適応化の方向や進度は相違し、システム全体で不整合が生じることにある。複数コンピュータ間で適応化の方向・速度をあわせることで、不整合の発生要因そのものを抑制する方法を提案していく。他の適応性をもつ分散システムへの活用も考慮する。(3)適応的自己複製・組織化:処理量に応じた適応性として、エージェントは委譲実行回数が時間あたりの所定回数を超えると、自らの複製(分化または実行状態も含む)を周辺コンピュータに配置・実行させる仕組みを導入する。(4)ソフトウェアの分割実行手法:仮想化技術を組み合わせることで、例えばアプリケーションを端末側とクラウド側で分割実行し、その分割方法や配置も自己最適化する手法となることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度予定していた設計を終え、次年度に想定していた実装に着手したこと。また複雑な計算システムに関する国際会議The 6th International Conference on Complex, Intelligent, and Software Intensive Systems(CISIS2012)でBest Paper Awardを受賞し、すでに当該分野を代表する研究と認められたこと。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りに研究を進める。具体的には細胞の分化・脱分化による適応化アルゴリズムを設計・実装・評価を進めていく。前年度においてエージェント実行インフラが実現できたことから、実装しながら改良を行えることとなり、平成25-平成27年度に予定していた適応化において整合性を維持するメカニズム、適応的自己複製・組織化、自己複製メカニズムの実現と評価の一部を先取りできると期待している。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用クラスタの構築は平成24年度から平成25年度に変更した。これは初期設計においては、実際の分散システムとしてクラスタを構築しなくても、仮想マシンで充足できたためである。ただし、性能評価では実験用クラスタが必要となる。
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