研究概要 |
水流,炎,煙,風などの流体の高速なアニメーション技術を開発するために,以下のような多角的なアプローチに基づく手法開発を並行して行った. 1.MTVFについて:(1)シミュレーション空間全体について,マルコフ型速度場MTVFを構築する方法に対する改良として,流れの表面に対応するMTVFのみを求め,流れアニメーションを実現する効率的な方法を開発した.また,(2)(1)のMTVF構築の基礎となる流体シミュレーション法と比較し,MTVF自体のパラメタの制御により,流れの印象がよりよく表現されることが分かった.さらに,(3)局所的なMTVFをプリミティブとして,規模の大きな流れを実現するための手法の有効性を確認できた. 2.fBmについて:(1)既存のクロスモデル(拘束粒子モデル)に既開発のfBmによる非凍結型風速場を適用し,提案風速場の効果を確認した。また,(2)炎や煙の表現を可能とするため,粒子群によるトレース技術とその粒子群に対するレンダリング技術を開発した. 3.HDEXについて:(1)海波,砕波,滝,および渦潮などについて,fBmを用いた次元上げのアイデアの適用法と,合成水面形状にガウスフィルタを効率的に適用する方法を開発した.また,(2)渓流など複雑な地形における流れに適用可能な,層状シミュレーションからなる次元上げ技術の開発を試み,その効率性について,一部確認できた.さらに,(3)粒子ベースアニメーション法に適する表面の生成法に関する既存手法のインプリメントによる比較調査を行った. 4.SSDEXについて:(1)フーリエ記述子とfBmによる,カーテンや旗のはためきの表現技術と,その応用として,テクスチャ生成技術とを融合させ,効率的な炎のアニメーション技術を開発した.また,(2)燃料が定義された空間での延焼可能な表現技術を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者(ポスドク)の雇用が遅れたこともあり,1と2についての成果発表時期に遅れがあるが,1についてはすでに著名国際会議に採択されており,2については国際会議および国内会議への投稿準備がほぼできている.一方,1のMTVFについては,アニメーションの表現としての制御能力において,予期しなかった優れた性質があることが分かった.3のHDEXについては予定通りであり,4のSSDEXについては予定以上の進捗である.
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者として,1のMTVFと2のfBmについてはポスドクを,3のHDEXについては博士後期課程の学生を雇用して進める.なお,4のSSDEXについては,展開課題として,これまでに想起された興味深い手法について,博士前期課程生などと検討を行う.
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