研究課題/領域番号 |
24300034
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
中野 美由紀 芝浦工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30227863)
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研究分担者 |
小口 正人 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (60328036)
山口 実靖 工学院大学, 工学部, 准教授 (50439262)
後藤 厚宏 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (90558868)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 実行時省電力 / データベース / クラウド・コンピューティング / 応用処理連携 / 性能評価 |
研究概要 |
本研究では、高伸縮性情報基盤の主要な応用処理であるデータベースを対象に、応用処理と連携した実行時省電力技法の研究開発を行う.すなわち、応用の知識(処理粒度、索引の有無等)、実行時特性(ライブラリィ挙動、入出力挙動、アクセス局所性等)を用い、応用の性能要求は満たしながら、実行時に省電力可能なデータベースの設計、評価システム構築を行うことを目的としている. 平成25年度は、平成24年度に行ったクラウド・コンピューティング技術の最新動向調査、省電力要件の検討に基づき、様々なアプリケーションに対応可能な省電力ミドルウェアの具体的な設計を行い、昨年度、一部の実装を行った高伸縮性情報基盤実験評価システムを用い、ミドルウエアを通じての省電力効果の実験・評価に着手した。また、ヴァーチャルマイグレーションによる大規模データアクセス処理の高速化を検討し、日本データベース学会論文誌にその成果を発表した.さらに、OSSのデータベース上にてデータベースベンチマークであるTPC-Hを用い、そのパラメタを変更すると共にディスク上のデータ配置を変更し、データベース処理実行時の消費電力を計測することで、ミドルウェアに配置された省電力機能が入出力挙動のモニタリングを行うことで、省電力可能なデータ配置を得られることを示した.また、一般的なクラウド環境(AWS)においてストレージの消費電力削減手法を検討し、ストレージ間データ再配置による停止時間の拡大により,一般的な仮想化環境でも,省電力の可能性があることを確認した.さらに、超巨大データ応用処理として、セキュリティ分野におけるマルウェア解析分野とスマートフォン位置情報を含むセンサーデータ解析分野において、データ量の急増に加え、プライバシー保護のための匿名化処理など、高負荷処理が必要であると同時に省電力化が必須であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度には、データベース分野の世界的な国際会議であるICDEに本科研の根幹となる手法の論文が採択され、国際的に高い評価を受け、基幹データベースシステムを用いたアプリケーションの実行時省電力の可能性を一早く明らかにすることが可能となった。さらに基幹データベースシステムのみならず、OSSとしてのデータベースシステム、あるいは、MapReduce/Hadoop環境におけるアプリケーションの入出力挙動、バーチャルマイグレーションの環境におけるアプリケーションの入出力挙動を実際のアプリケーションを稼働させることで、明らかにした。これにより、基幹データベース上の定型的なデータベース問合せ処理に加え、様々な環境におけるアドホックな問合せ(一時問合せ)においても、本科研で開発している実行時省電力手法が十分に適応可能であることが明らかとなった。バーチャルマイグレーションの環境化における入出力挙動とその性能評価については、国内にて高い評価をうけ、日本データベース学会論文誌に平成25年度に採録された。 また、データベース分野において大変評価の高いジャーナルであるIEEE TKDEに提案手法を投稿し、一次査読の結果を修正し、再投稿中である。 以上のように、本来、最終年度にまとめるべき成果を最終年度前半で達成することが可能であり、当初計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の公表に関しては、当初予定以上に進展しており、それにあわせ、高伸縮性情報基盤実験評価システムの実装を研究計画を予定どおりに推進すると共に、さまざまなアプリケーションを利用して実行時省電力の効果を得るべく、新たに、共同研究者を迎え、多様なアプリケーションを利用した性能評価環境を整え、さらなる成果を得る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の公表に関しては、当初予定以上に進展したため、高伸縮性情報基盤実験評価システムを拡充した追加実験を最終年度とすることで、高伸縮性情報基盤実験評価システムの拡張に予定していたストレージなどの購入が不要となった。 高伸縮性情報基盤実験評価システムの実装を研究計画を予定どおりに推進すると共に、さまざまなアプリケーションを利用して実行時省電力の効果を得るべく、新たに、共同研究者を迎え、多様なアプリケーションを利用した性能評価環境を整えるためにサーバを新たに購入する予定である。
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