研究課題/領域番号 |
24300038
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
唐山 英明 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00401323)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳波 / 事象関連電位 / ブレインマシンインタフェース / 集団 |
研究概要 |
本研究「集団同時脳情報に基づく注意惹起事象の実時間抽出」においては、集団の脳波計測を行い、複数人の脳波データを統合することにより、集団の注意を惹起した環境事象の抽出を行うことを目的としている。 今年度は前年度に引き続き、集団の脳波計測とその解析を行った。また、非加算平均の脳波を集団被験者で統合して処理することにより、注意惹起事象の抽出精度が向上することの再確認ができた。さらに、事象として実験室内における動画刺激を採用し、比較的単純なコンテンツを含む動画内から読み取られる刺激提示時刻に基づいて集団の脳波解析を行った結果、明瞭な事象関連電位が抽出可能であることを確認した。また、リアルタイム性が確保されるよう非加算の短時間の脳波のみを使用して脳波のパターン識別を行った結果、本研究に必要な脳波の分析における基盤技術が確立できたと判断される。 以上で得られた知見を最終年度において応用するために、環境中の事象発生時刻を自動で抽出するためのプログラムの概要設計を行った。自動抽出はコンピュータビジョンなどの技術に基づいて実現するよう検討が行われた。このコンピュータビジョンシステムは、まずは屋内において動作するよう設計され、将来的に8名~10名程度の屋外の集団の周辺環境の事象を抽出できるように開発される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進展している。現時点で、当初の達成目標と大きく異なる点はなく、集団の脳波の統合技術も確立できており、特に深刻な問題となる事項は存在していない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、最終年度、集団の周辺環境事象を自動で抽出可能なコンピュータビジョンシステムを開発し、実装する。このシステムを実装後、屋内、屋外(もしくはウェ屋内ウェアラブル条件)において、集団被験者を用いた実証実験に取り組む。まず、屋内における特定の現象の抽出ができるよう脳波のパターン識別の実験を行う。屋内における特定の現象としては様々が考えられるが、網羅的に検討を行い、最適な実験条件を確立したい。次に、システムを可能な限りウェアラブル化し、屋外における計測と分析の可能性について模索する。システムのウェアラブル化においては、各被験者に装置の持ち運びを要求するため、複数の同一計測システムを調達する必要がある。よって、安価なシステムを構築することが理想である。最終年度では、屋内の実験によって目的はほぼ達成されるが、より魅力的な応用のために、少なくとも、屋外においても利用可能なシステム開発を行い、その精度の検証までを導出したいと考えている。その他、脳波の信号処理手法を改善するため、特殊なソフトウェアを調達する可能性もある。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究においては、安価な脳波計測器を複数準備する計画であった。しかしながら、安価な脳波計測器の性能を調査した結果、実用に耐えることができないという結果が得られたため、現時点で、調達を保留している段階である。 安価な脳波計測器については、近年、様々な装置が市販され始めており、まずは、その調達の可能性を検討していく。それらの製品がすべて性能基準に達しない場合、既存のシステムを改良するための費用として資金を活用し、研究の目的が達成されるよう準備を行う計画である。同時に、メーカーとの連携を密に行い、あらたな計測器の仕様策定や意見交換を行うなど、理想的な製品の開発に関わるような取り組みも積極的に行っていく。
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