研究課題/領域番号 |
24300046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
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研究分担者 |
奥山 文雄 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (70134690)
長谷川 聡 名古屋文理大学, 情報文化学部, 教授 (20269674)
渡邉 智之 愛知学院大学, 心身科学部, 准教授 (00416190)
大森 正子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (10397490)
石尾 広武 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (40271035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 3D / 立体映像 / 水晶体調節 / 輻輳 / バーチャルリアリティ / 眼疲労 / 瞳孔 / 3D酔い |
研究概要 |
多種多様な3D映像に対する多種多様な観察者(年齢、屈折状態(近視、遠視、老視)、立体視機能のあるなし)の調節(ピント)と輻輳(両眼の視線の交点)の同時測定を行ない、データベースを構築した。実物体の前後運動を追跡する水晶体調節を18歳から84歳まで、130名に及ぶ測定を行ない、年齢別の調節速度、調節幅に関するデータベースを構築した。サインカーブでフィッティングし、年齢層別のフェーズの遅れ、と調節幅の振幅について、モデル化を行なった。 多様な飛び出しや奥行きの程度(両眼視差のレベル)において、調節(ピント)が輻輳(両眼の視線の交点)とともに動くとき(30歳代以下の場合)と、調節(ピント)がほとんど動かず、調節遠点の距離にほとんど固定されているとき(おおむね45歳以上の場合)、それぞれ、ボケの程度はどのくらいなのかを、実験的に同定し、被写界深度(瞳孔径と明るさに依存)と近視の者のボケ(視力の低下)の程度との関連の理論的な推定を考慮して、ボケの程度のモデルを確立した。 実物体と3Dに対する調節・輻輳の同時測定は、SID2012において、Distinguish Paper Awardの表彰を受けた。 このことによって、3Dに対する水晶体調節は、「画面に固定されている」という調節・輻輳矛盾説の否定が、国際的に認知された。また、この表彰にともなって、Journal of the Society for Infomation Displayの雑誌に、原著論文として、受理され、まもなく出版されることとなった。 調節・輻輳矛盾説にたいする世界ではじめての否定の原著論文である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3D立体映像に対する水晶体調節と輻輳の同時測定のシステムを確立できた。130名に及ぶ18歳から84歳の多数の被験者について、実物体の前後運動の調節・瞳孔測定を実施し、年齢別のデータベースを確立できた。3D映像と実物体の比較について詳細な実験結果を報告し、ディスプレイ分野の最高の学会、SIDで、優秀論文賞を受賞した。その内容を原著論文として、JSIDに受理され、印刷中である。
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今後の研究の推進方策 |
3D映像に対して調節と輻輳がほぼ一致する若年被験者において、ボケずに鮮明に見える飛び出し、引っ込みの妥当な限界を特定し、また、中高齢者の場合に快適な限界を示す。眼疲労のない3D撮影法を探求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
644円が直接経費次年度使用額として生じてしまった。これは、年度末に計画的に使用する上で、計算の確定が遅れてしまったためである。次年度分に合わせて、主として消耗品として使用する計画である。
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