研究概要 |
本研究は,寄り添い感生成に必要な触覚刺激を患者に提示するポータブルかつウェアラブルなエージェントを研究する「触覚刺激提示エージェント研究班」と,視聴覚,及び触覚刺激を組み合わせ,患者が介護士に感じる寄り添い感の生成手法を研究する「クロスモーダル刺激提示研究班」,そしてこの寄り添い感生成技術を活用した病院,施設での治療,リハビリプログラムを確立する「治療,リハビリプログラム研究班」から構成される。今年度は,寄り添い感の生成に必要な触覚刺激提示エージェントや映像音声刺激提示についての基礎的な検討を行い,各刺激提示に必要な要件を定義した. ポータブルかつウェアラブルな触覚刺激提示エージェント研究班は,患者に許容されるエージェントのアピアランス,ビヘイビアのデザインと実装として,装着型のぬいぐるみロボットに対する愛着やユーザの動作のしやすさなどの要因について被験者実験を行い上腕部の妥当性を確認について確認した.また,振動・圧力以外の触覚提示について検討した.さらに実環境で利用可能なポータブル型ロボットの段階的なレベルを持つ装置構成についても検討している. 寄り添い感生成のための視聴覚,及び触覚刺激のクロスモーダル提示研究班は,寄り添い感生成のための視聴覚,及び触覚刺激のクロスモーダル提示方法の検討として,大型液晶ディスプレイをハーフミラーを組み合わせた鏡像とディスプレイの映像を重畳表示するシステムを構築し,このシステムからの自身の鏡像への働きかけの映像刺激と聴覚刺激を組み合わせた寄り添い感の生成方法について検証した. 治療,リハビリプログラム研究班は,治療,リハビリプログラム,および効果を評価する実験プロトコルの検討として,認知症の入院患者における精神症状について調査し,アパシーの出現頻度やリハビリプログラムについて検討した. 上記の成果の一部は学会,及び論文で発表した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は各研究班の連携を密にして,各刺激提示装置の統合と評価,また医療現場での実証実験の準備に取り組む.現場での実証評価のためのAndroid携帯端末による制御により振動と音声を用いたぬいぐるみ表現や,着衣の厚みに応じた伝達手法や存在感を伝えるのに効果的と考えられる風を用いた擬人化手法を実装する.また介護スタッフが現場で実施している治療,リハビリプログラムを部分的にクロスモーダルな刺激提示で生成される寄り添い感を用いたものに置き換えるための検討を開始する.
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次年度の研究費の使用計画 |
【消耗品費】研究活動に必要な文房具類,また実験に必要な携帯端末などの備品類の購入費用を計上する. 【国内旅費】国内旅費の成果発表・打合せは1泊2日から2泊3日の旅費を想定し,年8回の国内発表を予定している.また京都工芸繊維大学での打ち合わせ(研究会)のため,関東から延6回の費用を計上している. 【外国旅費】早期から得られた研究成果を国際的な場で発表していくために,海外旅費として北米や欧州などでの1週間程度の旅費・滞在費を想定し年4回の外国発表を予定している. 【謝金等】データ投入,実験などの作業補助のための謝金を計上する.患者の画像診断の費用を計上する.また実験室実験の被験者への謝金を計上する. 【その他】研究成果投稿料を25年度以降に計上する.また実験に必要なブロードバンド回線の維持費用と実証評価環境の保守費用を計上する.
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