研究課題/領域番号 |
24300055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笹嶋 宗彦 大阪大学, 産業科学研究所, 研究員 (80402999)
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研究分担者 |
来村 徳信 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20252710)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オントロジー / 看護マニュアル / 知識工学 / 教育支援 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続いて(1)提案方式による看護手順知識の管理と品質向上サイクルを定式化すること(2)初年度に構築したシステムの評価実験を実施すること(3)看護知識ブラウザの機能拡張をさらに進めること,の3つの課題について研究を実施した.なお,研究環境の変化に伴い,大阪厚生年金病院,および,大阪大学医学部保健学科の両者をフィールドとして研究を進めた. まず,提案方式による看護手順知識の管理と品質向上サイクル定式化を進めた.病院における看護手順マニュアルおよび,大学における看護教材の2種類を対象として(i)看護知識の構造化(ii)病院臨床現場の看護師および,大学教員による知識の監修(iii)構造化した知識の利用効果の測定(iv)構造化した知識およびそれを表示するインタフェースの修正,の4つの部分から成るサイクルを繰り返すことによって,本研究が提案する方式による各種手順知識の質的向上と継続的運用を進めた.ここまで述べた4つの手順を随時記録しまとめ,学会等での公表を行った. また,評価実験を継続実施した.実際の看護師教育現場に,前年度構築したブラウザを搭載した端末を導入して教育訓練を行い,様々な指標について測定し評価した.申請者らと協力関係にある大阪厚生年金病院の看護師教育現場,および,大阪大学医学部保健学科の教育現場を前年に引き続いて分析し,看護マニュアルの構造化によって支援可能な部分を同定して,評価実験を行った. 評価実験を踏まえて看護知識ブラウザの機能拡張をさらに進めた.看護師の教育は看護師の成長段階に応じて同じ知識を様々な形で抽出し見せる必要がある.そこで,特定の手順のみ,手順間の同一性,避けるべき事態との関連性,など,行動分解木形式で記述された知識を様々な角度から見せるためのインタフェース機能の改良を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの課題を関連付けながら,おおむね設定した目標のとおりに進めることができた.まず,提案方式による看護手順知識の管理と品質向上サイクル定式化については,病院における看護手順マニュアルおよび,大学における看護教材の2種類を対象として実際に知識を構築し,電子教材に搭載してそれぞれの現場にて試用と評価に着手した.実際の現場における評価の進め方との調整に手間取ったが,最初の実験と課題の確認ができた. 次にシステムの評価実験を継続実施できた.実際の看護師教育現場に,本研究で構築したブラウザを搭載した端末を導入して教育訓練を行い,様々な指標について測定し評価した.大阪厚生年金病院の看護師教育現場,および,大阪大学医学部保健学科の教育現場での利用について1年間かけて分析し,成果を発表した. 最後に,以上の過程から得られた知見や評価をもとに,看護知識ブラウザの機能拡張をさらに進めた.新人看護師や看護学生向けのインタフェース機能に関して,問題が指摘された点,改良案が出された点を中心に,前年度に引き続いて機能拡張を実施した.成果は次年度の評価実験端末に搭載する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究の最終年度であり,前年度取り組んだ3つの課題を継続しつつ,これら研究を総括する. 評価の場としては引き続き,JCHO大阪病院(旧大阪厚生年金病院),および,看護学の教育機関である大阪大学医学部保健学科の両者を予定している. (1)JCHO大阪病院における看護手順マニュアルおよび,大阪大学における看護教材(成人急性期フィジカルアセスメント)の2種類を対象として(i)看護知識の構造化(ii)病院臨床現場の看護師および,大学教員による知識の監修(iii)構造化した知識の利用効果の測定(iv)構造化した知識およびそれを表示するインタフェースの修正,の4つの部分から成るサイクルを前年度に引き続いて実施する. (2)初年度に構築したシステムの評価実験を継続実施する.上記(1)の課題と重複するが,実際の看護師および看護学生の教育現場に,知識閲覧用のブラウザを搭載した端末を導入して教育訓練を行い,様々な指標について測定し評価する. (3)看護知識ブラウザの機能拡張をさらに進める.教育をより効果的かつ効率的にするためには看護師の成長段階に応じて同じ知識を様々な形で抽出し見せる必要がある.そこで,特定の手順のみ,手順間の同一性,避けるべき事態との関連性など,知識を様々な角度から見せるためのインタフェース機能の改良を進める.改良については,前年度実施した評価実験での被験者,および教育担当者からのコメントも参考にし,評価機への搭載を随時進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度,評価実験に使用するプログラム開発作業を行った.年度当初にプログラムの仕様を策定し開発計画と見積もりを立てて予算申請したが,評価実験の結果,作成すべき仕様が年度途中で変わったため,作業工数が予定より少なくなり,予算が残った.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度のプログラム開発作業の予算に充当する.
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