研究課題
本課題の目的は,データマイニングを用いた知的診療支援サービスの開発を以下のプロセスによって実現するための基盤技術を研究することにある: (1)病院情報システム内に蓄積された診療記録・診療行為の履歴から,各診療科に必要な診療支援に関する知識を抽出。(2) マイニング結果に基づいた知的診療支援システムを開発,病院情報システム内に実装。(3) 診療記録・診療行為の履歴からシステム実装の評価を定量的に行う。(4)評価に基づいて,追加のデータ収集を行い,支援システムの洗練化・新たな開発を行う。本研究では: (1)解析に必要なデータを業務用データベースから効率良く抽出する方法,(2)時系列モデリングを効率よく生成する時系列マイニングの方法,(3)診療支援システムの導入前後の時系列パターンの変化を検知するための指標の開発,(4)Personalizationのようなadaptiveな知的支援システムの構築を目標とし,実践的に知的診療支援システムの開発・評価をアクティブマイニングプロセスの枠組みで検討する。平成25年度においては,マイニングシステムの実装と知的診療支援システムの実装を中心に遂行した。平成24年度に引き続き,マイニングの要素技術の開発は昨年度設置されたデータマイニングサーバを用いて行った。(担当:平野,津本)。実際に,時系列マイニングシステムの構築により,さまざまな診療科を類型化し,時系列パターンの特徴が明らかになった。得られたマイニングの結果を用いて,専門家にインタビュー,本格的に知的診療支援システムの開発を本年度設置の開発用ワークステーションを用いて行った。特に,膠原病内科において,診療のミスにつながる時系列パターンを見いだし,その上で診療をナビゲーションするシステムを実装し,診療ミスを起こしうるパターンの消失を確認した。
3: やや遅れている
これまで膠原病内科を中心にして,システム開発と評価を進めてきたが,本年度は他内科と比較して,前半には,内科全体について,昨年度行ったアクティブマイニングプロセスを実行する。
26年度前半: 25年度に実現できたプロセスを内科全体に拡張する。その上で以下の研究を遂行する。昨年度に開発された診療支援システムを逐次,病院情報システムに埋め込み,その実行記録をアクセスログ管理サーバに蓄積する。従来からのデータウェアハウスサーバとアクセスログ管理サーバに蓄積されたデータに,これまで開発したマイニング技術を適用し,診療支援システムの評価を行う(担当:津本,花田)。その評価に必要な情報あるいは前プロセスでは足りなかったと思われる情報の収集を目指し,データの収集のデザインを行い,さらにそのデータをアクセス管理ログサーバに蓄積をすすめる(担当:津本,花田)。各プロセスの評価には,前年度設置されたサーバおよび本年度設置される設備を用い,システムの評価はこの期間から外来診療全体をターゲットとする。26年度後半: 時系列マイニングシステムの本格稼働およびまとめ:平成25度までに開発したシステムを本院において稼働させて,代表者・分担者全員で,システムの評価を行う。さらに,本年度設置されるシステム評価用ワークステーションを病院情報システムに埋め込み,業務に支障がないように動作させる。さらに,アクティブマイニングプロセスのサイクルを積極的に回し,最後に本研究の総括を行う。
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