研究課題/領域番号 |
24300060
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
平田 耕一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20274558)
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研究分担者 |
篠原 武 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60154225)
久保山 哲二 学習院大学, 計算機センター, 教授 (80302660)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 埋め込み / 次元縮小 / 離散構造距離 / 木アライメント / マッピングカーネル / 高次元類似検索 |
研究実績の概要 |
研究目的(1)「離散構造データの埋め込み」を達成するために,研究計画(A)「離散構造間距離のアルゴリズム」の一環として,特に木アライメント距離の研究を進め,順序木より制限が弱く無順序木より制限が強い巡回的順序木に対するアライメント距離を多項式時間で計算するアルゴリズムを設計した.また,これまでの研究成果に基づき,無順序木編集距離の多項式時間計算可能性の境界,および,断片距離の性質について明らかにした.さらに,研究計画(D)「離散構造間距離の低次元距離空間への埋め込み」の一環として,アンカーを利用した木アライメントの線形時間アルゴリズムを設計した. 研究目的(2)「本質的な高次元データの次元縮小」を達成するために,研究計画(B)「SimpleMap 法の歪みの解析と拡張」の一環として,SimpleMapとヒルベルト曲線を利用した高次元類似検索における一括質問処理手法を考案した. 研究目的(3)「離散構造データの高次元ベクトル表現,および,埋め込みと次元縮小」を達成するために,研究計画(C)「離散構造データの高次元ベクトル表現」の一環として,一般に計算困難である根付き無順序木のカーネルに対して,それを進化系統樹(根付き葉ラベル二分木)に制限した上で多項式時間で計算できる合致部分木マッピングカーネルと葉間パスカーネルを設計し,それをインフルエンザウイルスの塩基配列に適用することで有用性を確認した.また,巡回的順序木に対するマッピングカーネルを設計した.さらに,(F)「高次元ベクトル表現の埋め込みと次元縮小」の一環として,高次元ベクトルデータからの特徴抽出の研究にも取り組み始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した研究計画(A)-(F)に対して,これまでに取り組んでいない(E)以外に対しては順調に研究成果を挙げている.特に,(A)「離散構造間距離のアルゴリズム」については,木の編集距離とマッピングに対するこれまでの既存研究をも総括する研究となりつつある.また,(C)「離散構造データの高次元ベクトル表現」についても,これまでに計算困難性から研究の進展がほとんど見られなかった無順序木マッピングカーネルに対して,自然な制限であり無順序木の一部の性質を保存する巡回的順序木を導入することで新たな進展が見られた.
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今後の研究の推進方策 |
当初設定した研究計画(A)-(F)のうち,最終年度に当たる平成27年度は,(A)「離散構造間距離のアルゴリズム」や(C)「離散構造データの高次元ベクトル表現」については,離散構造としての木を,応用範囲を考慮しつつ,より一般的な構造へ拡張することに取り組む. また,(B)「SimpleMap 法の歪みの解析と拡張」や(F)「高次元ベクトル表現の埋め込みと次元縮小」については,SimpleMapに加えて新たな射影手法を導入することで,画像や音データの低次元空間への効率的かつ歪みを保証した埋め込み手法と次元縮小手法の開発に取り組む.(D)「離散構造間距離の低次元距離空間への埋め込み」については,木におけるアンカーを足掛かりに,木編集距離やその他の離散構造における距離の低次元距離空間への埋め込みに取り組む. さらに,(E)「高次元データの局所依存ハッシング」について,外れ値検索や中心点探索法を利用する手法を考案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に購入する予定のPCの購入を中止し,その額を平成27年度にサーバを購入する費用に追加で充当するため.
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次年度使用額の使用計画 |
サーバ(一式60万円程度)を購入する予定である. 品名/規格CERVO-Grasta Type-IS2(WST-E51650V3S3Q4TT)
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