研究課題/領域番号 |
24300069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上條 俊介 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (70334357)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 車載カメラ / 歩行者検出 / 歩車間通信 / 車車間通信 / 安全運転支援 / 自動運転 |
研究概要 |
本研究は、Zigbee送受信デバイスを用いた歩車間通信により、車両から見た歩行者の位置を特定するための基礎技術開発を行うことを目的としている。4つのZigbee受信デバイスを車両の四隅に設置し、歩行者が持ち運ぶZigbee発信器から発信される電波強度(RSSI}を計測し、4つのRSSIの相対関係を解析することにより発信源の存在位置を特定するものである。発信源位置検出には、テストフィールドでの実験で取得したキャリブレーション(学習)データを用いる。電波は路面反射により干渉が起こるため、FTTD法によるシミュレーションを行い反射モデルを考慮した学習を行った。また、右折車両に発信電波の直接波が遮られるケースにおいても、最も遮蔽の激しい1つのセンサーを除いた、3つのセンサーによる位置判定尤度を比較することにより、自動的に最も遮蔽の激しいセンサーの特定と発信源位置の特定を同時に行う技術を開発した。今年度において実実験車両を構築し、都内交差点における実道実験を行った。その結果、位置特定エラーが5~10mと、スマートフォン等に導入されている簡易的なGPSより高い精度で歩行者位置を特定できることが確認された。実道実験においてはビルや周辺車両による反射の影響が見られるところでは、一時的に位置特定エラーが10mを超える場合が見られ、来年度以降にこれらの反射モデルを導入した改良を行う。また、本研究は車載カメラによる歩行者検出を行い、最終的にはセンサー融合を行うことを目的としている。動き差分によるトラッキングとHOGパターン認識の階層間協調アルゴリズムを試み、96%程度の歩行者検出率と4%程度の誤報率を達成することができた。また、歩行者検出には、大局的なHOGの分布をより顕著にするために、Semantic HOGという特徴量を独自に考案した。この特徴量は、歩行者と構造物等の非歩行者の識別率を向上するだけでなく、単純歩行者と自転車との間の識別にも有効であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
車載カメラを利用した歩行者検出、および歩車間通信を利用したRSSI相対強度による発信源位置特定技術について、基礎的な技術が確立され、概ね計画通りに研究が進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、RSSIセンサーについては、実験車両を用いたフィールド実験を行い、周辺のビルや車両からの電波反射を考慮したモデルの構築を行う。また、いわゆるUrban Canyon(高層ビルの谷間)におけるGPS位置特定の高度化、スマフォのジャイロ等を使用した補完、ならびにRSSIセンサーとのフュージョンに関する研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究において予定していた実験車両の構築を、本研究開始に先立って運営費等により先行的に行うことができたため、直接経費の一部を次年度に充てることが可能となった。当該予算は、実験車両の改良による実験環境の拡充に充てたいと考える.
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