研究概要 |
130万画素(1280x1024)ディジタル相関方式の時間相関カメラを開発し,産業応用にも対応可能な高い解像度での実時間相関撮像を実現するとともに,高速変化対象の高変調周波数撮像において,イメージセンサの精度が低下する現象を発見し,その原因として,グローバルシャッタ用の転送ゲートの転送漏れによる残留であることを確認した。上記の開発結果を受けて,その改良版の開発の設計と開発を行った。この評価は次年度の最初の課題となる。 また,固視微動による画像特徴抽出システムとアルゴリズムを開発し,画素間隔を超える非常に高分解能な明暗パターン特徴の抽出が可能であることを確認した。さらに,固視微動を利用する超解像法の基本原理とアルゴリズムを開発し,33万画素(640x512)のアナログ相関方式時間相関カメラを用いて実装し,4倍の130万画素相当の解像度と,画素配列と撮像対象の高い周波数パターンとの間で生じる有害なモアレ現象の低減が同時に実現可能であることを確認した。 走行車両等に乗って移動する視覚系の自己運動により生じるオプティカルフローから,走行車両の並進速度と回転速度の6自由度,ならびに撮像される外界の画素ごとの奥行きを再構成するアルゴリズムの開発に着手し,自己運動の推定が可能であることと,三次元環境の復元について基本的な性能を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ディジタル時間相関カメラの開発がほぼ順調に進み,その画像処理応用が可能な段階に到達した。 生物の視覚機能に着想を得た,固視微動による特徴抽出,固視微動による超解像(画素数を超える解像度と有効なモアレの低減),自己運動による姿勢推定と三次元環境の復元のための基本的なシステムとアルゴリズムを構築し,実現の見通しを得た。
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今後の研究の推進方策 |
アナログ相関方式の時間相関カメラ,ディジタル相関方式時間相関カメラを,ともに2台構成で同期して動作可能なように構成し,固視微動や,視線移動,照明の時間空間変動を加えることにより,より高度な生物着想型の視覚システムとして構築してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ディジタル時間相関カメラについて,前年度の開発結果を評価し,その結果を受けて必要な改良を実施する。対象の運動や固視微動,撮像体の自己運動,照明環境の動的変化等によって生じる光路の変化を光路変調として統一的にモデル化し,これらを生物の視覚機能と関連付け,組織的な応用開発を進める。消耗品の購入計画を変更してわずかに残った助成金を含めた主要な設備費は,このための基礎実験システムに関わる経費である。
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