研究課題/領域番号 |
24300076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
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研究分担者 |
田中 弘美 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10268154)
韓 先花 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (60469195)
佐藤 嘉伸 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70243219)
古川 顕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
健山 智子 立命館大学, 情報理工学部, 助手 (90550153)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多重線形代数 / スパースコーディング / テンソル / 腹部CT / 複数臓器 / 統計モデリング / 主成分分析 / 医用画像データベース |
研究概要 |
スパースコーディングは、主成分分析などの統計解析手法と同様、個々の基底が観測データを構成する基本要素成分となるように学習することが目的となるが、殆どの基底の係数は0であり、ほんの一部の基底の係数だけが大きな値をもつ。結合係数のスパース性の制約により、観測データの中に混在する特徴的なパターンが個々の基底となって表出される特徴があり、腹部複数臓器の統計モデリングに有効であると考えられている。一方、従来のスパースコーディングでは、多次元データを1次元ベクトルに展開する必要があるため、サンプル数に比べデータの次元数が非常に大きくなり、すべてのバリエーションを記述することができず、汎化能力のない統計モデルとなる,等の問題点があった。 初年度の平成24年度においては、我々は多重線形代数(Multi-linear Algebra)理論の枠組で多次元データを一つのテンソルとしてそのまま取り扱える、一般化N次元スパースコーディング(テンソルスパースコーディング)を理論的に開発した。従来のスパースコーディングでは、K-SVDという手法を用いて2次元行列を分解していたが、我々の提案するテンソルスパースコーディングでは、新たにKrCPDという多次元テンソル分解手法を提案し、医用ボリュームのような多次元データをテンソルのままでスパースコーディングすることができるようになった。腹部複数臓器の統計モデリングにおいて、各臓器が体の一部(スパースな成分)なので、我々の提案するテンソルスパースコーディング法によってそれぞれの臓器の局所的な変化(バリエーション)を記述できる。本研究成果は、2012年11月筑波で開催された、パターン認識の分野で最もレベルの高い国際学会(International Conference on Pattern Recognition 2102)でOral発表し、最優秀論文賞を獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、1年目にテンソルスパースコーディングの理論開発を行い、2年目以降に開発した手法を医用画像解析に適用する。初年度において、計画通りにテンソルスパースコーディング法を理論的に開発し、その有効性を示して来た。2年目以降は、テンソルスパースコーディング法を医用画像解析に適用し、その有効性を検証する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の昨年度は、テンソルスパースコーディング法(Tensor Sparse Coding)を理論的に開発した。今後、開発した手法の有効性の検証と腹部複数臓器の統計モデリングに適用して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、研究を遂行する為、研究者を招聘し、謝金を支払う予定であったが、他の予算で招聘した為、招聘者用に使う予定であった旅費・謝金が不要となった。今年度は2年目以降の研究計画のテンソルスパースコーディング法を医用画像解析に適用し、その有効性を検証する為、イラン・テヘラン大学からAmir Hossein Frouzan氏を3ヶ月間、中国・山東大学よりXu Qiao氏を2ヶ月間招聘し研究を進める。今年度は前年度使用しなかった予算を合わせてその旅費・滞在費として使用する予定である。
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