研究課題/領域番号 |
24300079
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 順 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50233127)
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研究分担者 |
金井パック 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (50204532)
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
桑原 教彰 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60395168)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 物理エージェント / 行動環境認識 / 知能ロボット / 感覚行動システム / 実世界情報処理 / 看護スキル / 自習システム / 患者搬送 |
研究概要 |
看護業務の質や量の増大に伴い,看護教育のあり方を再考する必要がある.本研究では,要介護ロボットを用いることで,患者を扱う際に看護学生が自分のスキルを向上させる教育システムの構築を提案している. ここでは,ベッドサイドから車椅子へまたはその逆へ患者を搬送する車椅子移乗動作を対象とした.要介護ロボットを設計する上での指針として,熟練看護師が健常人を移乗する際の患者の動きを,できるだけ正確に再現することと設定した. 基本的な基本設計を行った.通常の介護教育用マネキンをベースとして使用して,15個の関節を有するアーム関節と膝関節から構成されたロボットを設計した.ロボット肩部に2つのアクチュエータをとりつけ能動的に駆動する機構を設計した.また,電磁ブレーキを取り付けた4つの受動関節を膝部等にとりつけた.その他9つのアクチュエータを有さない受動関節を用いた.肩部の2つの受動関節は,看護師が患者の腕を看護師の肩の上に置く動作をした際に,その手を能動的に看護師の首の後ろに巻きつけ看護師から離れない動作を生成するために用いる.電磁ブレーキは,看護師によってロボットが起立した際に,その状態を保つために,ブレーキをかける必要があるため,設置した. これらの機構設計により,看護師が患者を抱きかかえ起立状態を保つ動作ならびにそこから座らせる動作を生成ができた.また,看護師の主観的評価により提案した要介護ロボットの妥当性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の観点からおおむね順調に進展していると判断している. ・要介護ロボットを作成する上での指標(健常人患者の動きとできるだけ一致させる)とターゲットとする看護ケア動作(車椅子移乗動作)と明確化できた点. ・要介護ロボットの一次的な試作が出来た点.受動関節配置,能動関節配置,ブレーキ関節配置を的確に組み合わせた機構を設計,実装した点. ・看護ケア動作実現という目標に向けて,部分的な動作を要介護ロボットにより実現できた点.
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今後の研究の推進方策 |
・要介護ロボットを用いて看護師が実際に車椅子移乗動作を実現すること. ・その際に,要介護ロボットの動きを計測すること.また看護師が健常人を患者と見立てて車椅子移乗動作を実現した際の健常人の動きと比較すること. ・比較により,提案した要介護ロボットの自由度配置,制御法についての評価を行うこと.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究対象の範囲を広げ、再検討を行う必要が生じた.具体的には,平成24年9月までにロボットの概念設計を終了し,平成24年10月よりロボット詳細設計とシステム構成に着手予定であったが,ロボットが再現すべき人間の特徴的な振る舞いを新たに発見し,それを実装することが研究をより一層促進できるため,ロボットの概念設計の追加が必要となった.またロボット詳細設計,システム構成に追加の時間がかかることになった. ロボット詳細設計,システム基本構成を再度行い,その上で成果とりまとめと,実験を遂行する.
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