研究課題
本研究では,患者を車椅子移乗する看護ケア動作を,看護学生が自習するための要介護ロボットを開発している.この要介護ロボットは、移乗の対象である,身体動作の不自由な患者動作を再現することを目指して開発している.ここでは,ロボットにより,患者と看護師間の物理的相互作用,具体的には力学的相互作用と音声的相互作用の両者を達成した.物理的相互作用については,受動関節のみから構成され外力により動く9関節,関節部にブレーキをつけロックすることができる4関節,アクチュエータにより能動的に駆動できる2関節の計15関節から構成される全身ロボットを設計,開発した.これはアクチュエータやブレーキの数をできるだけ減らす設計を行っている.この際,ポテンショメータ式の角度センサを肩や肘,膝関節の回転角度を検出するために利用し,アクチュエータとしてはステッピングモータを用いた.音声的相互作用については,音声認識システムとコントローラを連動させることで,看護師から呼びかけにこたえて,ロボットが自身の動きを変更する機能を付加した.たとえば,起立状態にあるロボットが,看護師の「座ってください」という呼びかけを音声認識して,膝のロックをはずして,看護師の補助を介して座位をとれるようになる,という意味である.提案ロボットの妥当性を評価するために,熟練看護師による車椅子移乗実験を行った.椅子に座っているロボットを一度起立させて,再度着席させる動作を行った.健常な人間に対して同じ看護ケア動作を生成した場合との患者の動きを比較することで,提案システムの妥当性を示した.
2: おおむね順調に進展している
・看護師と物理的に相互作用できる要介護ロボットを試作し,評価に結びつけることが出来た.力学的な相互作用と音声的な相互作用の両者を相互に依存する形式で実装することで,患者と同様な振る舞いを実現できた.・看護師を対象とした実験を遂行することにより,提案システム(要介護ロボット)の評価をすることが出来た.
・実験の評価結果に基づいて,試作した要介護ロボットが十分な機能を有しているかどうかを検証し,実際に教育に利用可能な要介護ロボットの設計に役立てる.・熟練看護師ならびに看護学生を対象とした実験を行い,提案要介護ロボットの妥当性を検証する.
第一プロトタイピングロボットを用いた基礎的な実験の結果,要介護ロボットに新たな自由度を負荷する必要があることがわかった.結果として,ロボットの詳細設計,システム構成改良をする必要が生じた.ロボット詳細設計,システム再構成を行い,再実験ならびに成果とりまとめを行う.
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IEICE Transactions on Information and Systems
巻: E97-D(1) ページ: 107-118
10.1587/transinf.E97.D.107
http://www.race.u-tokyo.ac.jp/otalab/index-j.htm